掌編怪談「孤独」

近所に引籠りの息子を残して両親が亡くなった家がある

両親が亡くなっても息子は家から出ていないのか、誰も姿を見ていない

仕事どころか買い物をしている様子もないので、生きているのかも疑わしい

そんな話をしていると、その家の隣に住んでる老夫婦が事故で亡くなった

不幸は続くものだと嘆いていると、今度は斜向かいの家の子供が高熱からくる肺炎で亡くなった

それからも近所の家から続々と死者が出る

いつからか引籠りの息子の呪いだと噂されるようになった

誰もその姿を見ていないのも噂に拍車をかけた

町内会の話し合いの結果、俺が様子を見に行くことになった

インターホンを押すが応答がない

ドアを引くとすんなり開いた

お邪魔します

声を掛け、家を捜索する

息子さんが部屋の中で亡くなっているのを発見した

部屋中に虫の死骸が散乱しており臭いが酷い

壁の至る所に爪で削ったような文字で

さみしい

と書かれていた

死因は虫が喉につまった事による窒息死だった

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