掌編怪談「花」

人生で初めて幽体離脱を経験してからと言うもの、その虜になった

ネットにある様々な方法を試した結果、再現性の高いものを見つけた

それは仰向けになり、胸の上で手を組んで寝ると言うものだ

それからは毎日幽体離脱を楽しんだ

一ヶ月ほど経った頃だろうか

自分の体に戻ろうとして気がついた

ベッドに数本の花が置かれている

花には触れることが出来ない

体に戻ると花は無くなっていた

その日から幽体離脱をするたびに花の数が増えていき

2週間ほどでベッドを埋め尽くさんばかりの数になった

流石に気味が悪い

幽体離脱をやめてうつ伏せで眠るようにした

しかし、気づけば幽体離脱をしている

体を見ると仰向けで手を組んでいた

すぐに戻ろうとするが、その日は花だけじゃなく真っ黒い人がいた

幽体離脱中に体が乗っ取られると聞くので、急いで体に戻った

翌日は眠らないようにしていたが、いつの間にか幽体離脱をしていた

体に戻ろうとすると昨日より黒い人が増えている

それから三日、人数はどんどん増える

その人たちが花を供えていたことに気がついた

今日はついに体に戻ることが出来なくなっていた

幽体離脱なんかしなければ

体が燃えていくにつれ、意識が薄くなっていくのを感じた

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