オレンジは泪の痕を伝って
「大袈裟な名前の渓谷だったね」
「私おじいちゃんの朝の散歩コースかと思っちゃった」
夏に等々力渓谷に行った時に、一日がかりのデートになると見込んでいた割に半日どころか3時間で目的を終えてしまったことがあった。そのあと結局、やることもないから思いつきでレンタカーに乗って江ノ島まで行った。「そういう臨機応変なところ、すごい好きだしわくわくする」と褒めてつかわされ、気をよくしてしまい、途中寄った地場のスーパーで円柱型のビニールに入った大学生がキャンプでやるような馬鹿でかい手持ち花