39番 浅茅生の小野の 参議等
花山周子記
浅茅生の小野の篠原しのぶれどあまりてなどか人の恋しき 参議等
〔所載歌集『後撰集』恋一(577)〕
「浅茅生」はまばらに、あるいは短く生えている茅(ち・ちがや)。わたしが小学校に上がるときに引っ越してきた公団団地は、広大な湿地帯を埋め立ててできたまだ新しい団地で、あちこちに広い空き地が残されていた。中でも団地の中心に置かれる広場にはスーパー建設予定地の広い空き地があり、一面に茅がなびいていた。それはまるで童話の中に出てくるような草だった。白い狐の尾っぽのよう