自称「爆弾処理班」書店員が目指すもの
阪神タイガースの桐敷拓馬投手を見ていると、営業マン時代の先輩を思い出します。仮にYさんとしましょうか。
リフォームの訪問販売をしていました。コピーした住宅地図を持って朝から晩まで担当のエリアを回り、インターフォンを押し続けるのです。
どの地図を選ぶかは、前日にジャンケンをして決めます。住宅のたくさんある方がチャンスも多いのですが、私を含むほとんどの営業マンはそこそこスカっているものを好みました。家が密接していると近所の人にトークを聞かれて警戒されるし、屋根や壁を見ているだけで怪しまれて通報されることもあるのです。
ただ工場とか学校、大きな公園などが中心で家がほとんどないのも困ります。そういう場合は3枚ほど渡され、いつもよりも広いエリアを歩く。絶対に嫌でした。
しかしそんな外れクジを進んで手に取る人がいたのです。それがYさん。涼しい顔でタバコを吹かし「爆弾処理班すね」と一言。しかもしっかり結果を残して帰ってくる。
桐敷投手もけっこうタフな場面での起用が続いています。1点差で走者が得点圏、しかも打者はクリーンナップ。もしくは終盤の満塁や先発がアクシデントで緊急降板した後など。回跨ぎも珍しくない。
その多くで彼は相手の勢いを止め、颯爽とベンチへ戻ってきました。まさに爆弾処理班です。まだプロ2年目で、リリーフに専念するようになったのはつい最近。にもかかわらず、いまや岡田監督の信頼を勝ち取り「スペードのエース」と呼ばれています。
オールマイティでどんな局面の仕事もきっちりこなす切り札。そんな意味で使っているようです。
職場における私も、割と便利屋の爆弾処理班です。日々「こんなことまでやるのか」のオンパレード。担当ジャンルに専念したいと思わなくもない。しかし桐敷投手を見ていて考えを改めました。
先発の柱でも4番でもない「スペードのエース」書店員を目指します。