紙一重の有無
おはようございます!!! 今日は珍しくマンガの書評行きます!!!
「SLAM DUNK 新装再編版 8」
集英社 2018年刊行 井上雄彦著 352P
(以下は読書メーターのアカウント https://bookmeter.com/users/49241 に書いたレビューです)
この巻の主役は流川でも清田でもない。宮益だ。誰?という人もいるだろう。160センチ42キロの控え選手。強大な敵が相手じゃないと実力以上の力を発揮できない桜木の弱点を丸裸にするための抜擢。だがそれだけでもない。彼には長年の練習で培った「一芸」がちゃんと備わっている。フリーになっても全くゴールを決められない桜木とは見事な好対照。才能や素質では圧倒的に劣っていても勝負はまた別なのだ。練習でできないことは試合でもできない。普段小説を書いていない人がいきなり書けと言われても書けないように。こういうキャラ好きだなあ。
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巷では三井寿が大人気。
でも私は彼の生き方を見ても熱くならないです。
怪我をしたのは気の毒だったけど、赤木が台頭してチームの中心でいられなくなったことで勝手にすねて、ぐれて、二年間も無駄にして。本当にバスケが好きだったのか、それともバスケをやって周りからちやほやされることが好きだったのか。もちろんそこから再起して山王戦で見せた大活躍は努力の賜物ですし、二年間離れたおかげで「俺はバスケが好きなんだ」「バスケしかない」と確信できたのだと思いますが。
小暮の方が好きです(陵南戦の最後は泣きました)。天性の調整役にして高い志を持つ彼がいたからクセの強いメンバーが空中分解せず、かといって各々の個性をチームのために埋没させることもなく、絶妙なバランスで共存できたのです。特に赤木は彼がいなかったらバスケ部を辞めていたかもしれない。元々は遊びで楽しくやれればいい、というメンバーが大半だったわけですから。理解者がひとりいるかいないか、この紙一重がシークレットブーツの底よりも分厚いことを私は経験で知っています。
けど「作中でいちばん好きなキャラは?」と質問されたら、答えは海南の宮益義範(みやます よしのり)になります。最も感情移入のできるキャラクター。なぜなら私がもしバスケ部だったら、やはり3ポイントシュートをひとりで黙々と練習するから。チームメイトの神みたいにそれでレギュラーをつかむまでには至らぬ点も自分に近いです。
私は中高五年間(二年の秋で引退)卓球部に在籍していました。得意技はショートブロック。いわゆる守備型の表マンです。バックに来た相手のドライブをカウンターして点を取っていました。フォアに来たときもブサイクな形で弾き返す技を編み出しました。でも自分の中でそのスタイルをカッコ悪いと感じていてイマイチ徹底しきれなかった。宮益はどうだったのかな? 湘北戦まで試合出場ゼロだったらしいから、案外一緒だったりして。でも同期に牧という理解者がいましたよね。そこが私との違いかな。
「SLAM DUNK」って、実は自分にとってちょっと危険な作品なんです。
だって読むたびに無性にあのころに戻りたくなるから。やり直したくなるから。