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「テレビ」と「書店」と「西加奈子」
先週末、↓が飛ぶように売れました。
本屋大賞で6位に入りましたし、昨年からコンスタントに動いてはいます。私も読みました。予測を許さぬ斬新なエンタメ小説です。
ただ明らかに減るペースが尋常じゃない。
レジ接客で覚えたある種の「違和感」を棚作りへ活かすのも書店員の仕事。横のレジに入っていた文芸担当に「『君のクイズ』どこかで紹介されたのかな?」と訊ねました。
「ああ『アメトーーク!』ですね」
他の同僚も当然のように知っていました。「ネットでいいや」派でテレビを見ない私だけが無知で首を傾げていたわけです。
「テレビはオワコン」みたいな見解をたびたび目にします。たしかに一時期に比べたら勢いは落ちているでしょう。でもいまだに影響力は甚大だと今回の件で学びました。
同番組で紹介された本だと、西加奈子さんの「くもをさがす」もお問い合わせがかなりありました。初のノンフィクションで、しかもガンの闘病記とのこと。
西さんは2015年に「サラバ!」で直木賞を受賞した際、会見で「プロレスから勇気をもらっている」と語りました。一方的に同族意識を感じています。
思えば「サラバ!」も他人事じゃないというか、なかなか胸の奥が痛くなる物語でした。ああいう切実な本を書いてくれる人は、書店員としても本好きとしても応援したい。「アメトーーク!」のおかげでその決意がいちだんと強まりました。
いつだったか「ボクらの時代」という番組で西さんと中村文則さん、又吉直樹さんが共演していたのを見ました。距離感の心地良い関係性で「俺もいつか作家になってあの人たちと」なんて励みにしたのでした。
テレビ、やるじゃん。
そもそも「ネットでいいや」は本やリアル書店にも当てはまること。吐いた唾は己に返ってくる。逆境の時こそ「まだまだ必要だね」と感じてもらえる仕事を心掛けます。
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