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「#ワークマン女子」と「悪役商会」
「#ワークマン女子」の東京ソラマチ店、確かに中年の男ひとりだと入るのに躊躇します。オープン直後で賑わっているせいもありますが、ちょっと敷居が高いような。既存の「ワークマン」や「ワークマンプラス」ならスイスイ行けるのに。
長年愛用している職人さんなどのコアなユーザーは「ワークマン」、低価格高機能のカジュアルウェアを求める一般層は「ワークマンプラス」、そして若者や女性がトレンドを追うオシャレ感覚で足を運ぶのが「#ワークマン女子」という位置付けでしょうか。
ここまで書いてふと既視感を覚えました。状況が似ているのです。プロレス界と。
新日本プロレスは、ずっと男臭いゴリゴリの「ストロングスタイル」が売りでした。でも近年は女性ファンの獲得に力を注いでいます。選手のビジュアルがファッショナブルになり、血を流すとか怖いというイメージを一新しました。開始前にルール解説の動画を流す点もビギナー層に優しいです。
では新日本が「#ワークマン女子」みたいな若者と女性ファンにフォーカスした別ブランドを起ち上げたら成功するか? そうは思いません。ひとつの興行の中で、幕の内弁当みたいに「殺伐」も「華麗」も「男臭さ」も「イケメン」も「コミカル」も楽しめる。そこがプロレスの魅力だから。
昭和の新日本もその点に関しては一緒でした。猪木さんの殺気と藤波さんの爽やかさ、初代タイガーマスクの華やかさを全て味わえたのです。コミカルなドン荒川さんもいましたね。
「明るく・楽しく・激しく」を体現していたかつての全日本プロレスも同じです。メインでハイレベルな死闘を見せる一方、前座では「ファミリー軍団 vs 悪役商会」という新喜劇みたいなカードが組まれていました。あれを目的でチケットを買う人は多くなかったかもしれない。でも私を含めたファンは彼らの試合”も”生観戦の楽しみにしていたのです。
「『#ワークマン女子』なのに『作業服”も”買える』」方が企業の個性と文化への愛情が垣間見えて好イメージにつながる気がします。ワークマン経営陣の皆さま、ぜひご再考を。
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