「眠れない」「寝てない」「眠らない」
たぶん秋元さんは考えなきゃいけないことが膨大にあるはず。ゆえに彼の場合は「スケジュール的に3時間しか寝る間がない」ではなく「じゅうぶんな睡眠タイムを確保しても3時間しか眠れない」が真相では?
夜に集中して頭脳労働をこなすと身体は疲れているのに頭は冴えています。「もう寝なきゃ」と焦っても一向に微睡みません。諸々のプレッシャーや責任感や悪い方への想像なども、ここぞとばかりに頭を擡げます。
「眠れない」と「寝てない」は似て非なるものです。学生や社会人の「寝てない」アピールは大体自慢か言い訳。ゲームやSNSや酒で時間を浪費しているだけのケースも少なくない。本当に「寝る間もないほど忙しい」人もいますが、彼らは睡眠不足を他人に吹聴しません。第一にそんな余裕がないから。第二に寝た方がいいと知っているから。
堀江貴文さんは高校生のころ、東大に合格するために毎日14時間勉強して9時間眠ったそうです。寝ないと効率やペースが落ちるとわかっていたから。私も高校時代、徹夜で勉強して受けた数学の試験が散々の出来でした。「頑張った感」だけ得られても結果的に逆効果では意味がない。
そうは言っても、つい仕事ややりたいことに没頭することはありますよね。私はそういうとき「時間が足りないから睡眠を削ろう」ではなく「睡眠を削るような時間の使い方を改めよう」と考えます。長い目で見ればしっかり眠った方がパフォーマンスが向上することは明らかだから。
一方で、芥川龍之介「戯作三昧」みたいな「いまやっていることはいましかできないかもしれない」という、ある種の”フロー”の境地が存在するのもたしか。そういう「ここぞ」の極限集中時は眠らないで続けます。プロレスでいうなら、頻繁に使うと膝を壊すムーンサルト・プレスをこの試合だけは惜しみなく連発しよう、みたいな。
「眠れない」は切実。「寝てない」は言い訳。「眠らない」は覚悟。やっぱり基本は「しっかり寝ましょう」ですね。