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「イヤホン」という名の鏡

こういう人、たしかに多いです。

一応私の中にルールがあります。イヤホンを外さない人にも「袋はご入り用ですか?」と訊ねます。有料だから。でも「カバーをおかけしましょうか?」とは訊きません。無料だから。

意外に知られていないのですが「無料=お金がかかっていない」ということではありません。たとえば宅配の送料。あれがタダだったら運送業者は生活できません。注文主以外の誰かが代わりに払っているのです。

こういう場合の無料はお客様へのサービス。本当は有料だけど、お店の好意で特別に、ということです。

基準になるのは好意の有無。「客を差別するのか!」と怒られそうですが、いただいた料金の対価に含まれるオペレーションでは全てのお客様に平等に接します。でもカバーはサービスですから。お金に含まれないプラスアルファという認識ですから。

残念ながら、すべてのお客様に好意を抱けるほどの聖人君子にはなれません。とはいえ、イヤホンをしたまま「カバーかけて」と言われても「かしこまりました」と快くお受けしますけどね。まあ接客業に携わるひとりとしてのささやかな抵抗です。たとえ無意味であっても、その無意味が誰かに伝わることで意味を生むかもしれないし。

もちろん難聴などの事情があってイヤホンを外せない方もいらっしゃいます。だからこそ「何で外さないんだコイツ」とか思わず、最初に「袋はご入り用ですか?」と尋ねることが大事なのです。そこで「あ」と気づいて外してくれるケースもありますし。

余談ですが、私はワイアレスのイヤホンを使いたくない古い人間です。数年前、トートバッグの中で荷物に押されてスイッチが入り、職場に何度も電話していたことがあったのです。でもiPhoneはイヤホンジャック廃止しましたよね。水没時のリスク軽減とかはあるかもしれないけど、勝手な誤作動をされたり耳から落ちてなくしたりする方が私的にはずっと不便。

こう考えると、イヤホンの好みや使い方って本人の気づかぬところで「人となり」を鏡のように映し出しています。だからこそ多様性。温故知新。Appleの皆さま、なにとぞご再考を。

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