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発酵する書店

<本を売った際の書店の粗利は約20%前後>

この事実はもっと多くの人に知って欲しい。一か月で3000万の売り上げがあっても利益は600万。そこから諸々の経費や人件費が差し引かれたら果たしていくら残るか。

本当は「売り上げを伸ばす」現場の努力と並行して「利益率を上げる」業界全体の取り組みも必須なはず。そこを変えない限り、書店員の生活レベルは永久に上がりません。本が好きという気持ちだけで安月給に耐えろというのも酷な話です。

もちろん取次や出版社からしたら、取り分が減ることは避けたいでしょう。でも「アンフェアな関係をフェアなものにしませんか?」という呼びかけにいつまでも応じない硬直さが業界の衰退を早めたのも事実なのです。(興味のある方は三島邦弘 「パルプ・ノンフィクション」をぜひ)。

現状のままで利益率を上げる手段のひとつは「本以外のものを売る」こと。文具や雑貨はポピュラーですよね。私が以前勤めていた店ではレジ横でお菓子を販売していました。「甘い物でリラックス」みたいなPOPをつけて。これはこれでアリですが、本屋としては寂しい部分もあります。

昨年青山ブックセンターは「本を書店が出版する」という手法に挑みました。それが写真集「発酵する日本」です。旅好きの方や三浦春馬さんの『日本製』を楽しめた人がこの本を開いたら、きっと身を乗り出すはず。

元々発酵とは、食料を長期間保存するために編み出された生活の知恵。生き残るために土地ごとの特色をフルに(マイナス面も含めて)活かした先人の発想力に敬服し、自ずと頭が下がります。不条理な逆境さえも人は生きる糧にできるものなんだなと。

本屋が生き残るための生活の知恵として本を自ら出版する。そう考えると、このプロジェクトは「本屋的発酵」と呼べるのかもしれません。同写真集は青山ブックセンターの店舗かオンラインショップで購入できます。

先日プロジェクトの第2弾「ALL YOURS magazine Vol,1」も発売されました。さっそく購入させていただき、いま読んでいます。感想は読書メーターとnoteにて。





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