見出し画像

「全身全霊でぶつかる」生き方を教えてくれた人

思い出すのは2005年4月。

プロレスリング・ノアの日本武道館大会です。

メインは、3月に小橋建太選手からGHCヘビー級王座を奪った力皇猛選手の初防衛戦。その相手が齋藤彰俊選手でした。

難しいシチュエーションです。圧倒的な支持を集めていた前王者とどうしても比べられる。ましてやセミファイナルで小橋選手が天龍源一郎選手とぶつかり、強烈なチョップで胸板を切り裂く大熱闘を見せていました。

一度ピークを迎えた客席を再び盛り上げる。そんな難題をキャリア5年の新王者に求めるのは。。。

加えて力皇選手は明らかに本調子ではなかった。たしか腕を負傷していたはず。

名勝負とは呼び難く、ほとんど記憶に残っていません。ただ齋藤選手が気迫を剥き出しにし、必死の形相で闘っていたのは覚えています。「自分がやらなければ!」という危機感と責任感が伝わってきたことも。

先日↓を読みました。

90年代前半の週刊プロレスで、当時編集長のターザン山本さんが連載していたエッセイを集めたもの。齋藤選手について、ある人がこう話しています。

「”反選手会同盟”の一員として、新日本に牙をむいているが、本質的には人がいいんだね。試合を見てそう思いましたよ。一番驚いたのはファンがみんなそれを知っていることです」

そう、プロレスは立ち位置に関係なく、どうしても素の人間性が滲み出るもの。まったく沸かないあの日のメインで何度も声を張り上げ、大技を繰り出していた齋藤選手の姿が脳裏に浮かびました。

職場における私もあるいは似ているかもしれない。生え抜きの社員やエースではなく、色々渡り歩いた不器用な非正規雇用。できるのは全身全霊でぶつかることのみ。自分で考えている以上に影響を受けた気がします。

ここぞの時は入場曲をスマホで聴きます。

11月17日の引退まであとわずか。無事に最後まで駆け抜けられますように。

いいなと思ったら応援しよう!

Y2K☮
作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!