「2000年の自分」&「最高でも最低でもない世界」
今年は2024年。
考えてみたら奇跡です。
子どもの頃、大人から「1999年の7月に世界が滅びる」と脅かされて育った世代です。けっこう真剣に信じていました。
滅びなくてホッとしたのは事実。でも2000年の正月を迎えてワクワクすることもなかった。当時は学生でいろいろ切実な壁に直面していたし、毎日をどうにか耐え凌ぐことで精一杯。いま考えると大袈裟ですけど、その頃の心境はかなり追い込まれていました。
心の支えは本と音楽。
読んでいたのは↓です。
人生初のドストエフスキー。近所のジョナサンでドリンクバーを何度もおかわりしたのを覚えています。
音楽は↓をよく聴いていました。
ラルク・アン・シエルの「NEO UNIVERSE」です。
シンプルに明るくなるというか、たとえ一時的であっても未来に希望を抱き、目の前の現実を肯定するメンタリティを呼び起こすことができました。目を閉じて聴くと多彩なイメージが浮かび、気がつくと小説のストーリーがひとつ完成していた、なんて経験もしています。
「罪と罰」におけるラスコーリニコフの苦悩と葛藤に浸かることで「彼に比べたら全然マシ」と安堵し「NEO UNIVERSE」の早春の庭へ降り注ぐ陽射しのようなメロディーを浴びるなかで「きっと俺にもできることがある」と前向きになれた。そんな気がします。
昔は良かった、なんて思いません。2000年が来てくれて嬉しかったし、いいこともあった。しかし諸手を挙げて最高という年でもなかった。もしかしたらそんな時代は人類史上、一度もないのかもしれない。高度経済成長期やバブルとは無縁だけど、当時を知る人でもいまの方がいいと感じることはあるはず。
まだ滅びないでいてくれるのなら、もう少し楽しみたいです。最高ではないけど最低でもないこの世界を。
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