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「ジャストミート」と「エビ」の教え
福澤朗さん。私の中では「福澤ジャストミート朗」さんです。
様々な番組で活躍された人気アナウンサー。でも彼のキャラクターの原点が90年代の「全日本プロレス中継」であることはどれほど認知されているのでしょうか?
特にインパクト絶大だったのは、彼が担当していた「プロレスニュース」のコーナー。「ぷ、ぷ、ぷ、プロレスニュゥ~ス」というタイトルコールやコメントを紹介する際の物真似が物議を醸しました。
「他団体でも賛否両論。プロレスニュースをお送りしました」と語っていたのを覚えています。たしか新日本プロレスの某選手が新聞記事か何かで「ふざけ過ぎだ!」と怒っていたような。ファンからもいろいろ言われたかもしれません。
しかし彼の実況がピュアなまでに熱かったのも事実。アナウンサーよりもファン代表に近かった気がします。おそらく同年代の三沢光晴選手や小橋建太選手(当時は健太)らがジャンボ鶴田選手や外国人の壁に跳ね返されながら何度も立ち上がり、正面から突破する姿に感情移入したのでしょう。心の底から痺れたのでしょう。
印象に残っているのは、91年夏の三沢光晴 vs テリー・ゴディ戦。フェースロックで締め上げるのを後押しするように「ゴディを落とせ~!!!」と滾りまくり、やがて「ゴディを…落とせぇ……」と酸欠状態に。最後に三沢選手がランニングエルボーを決め、片エビ固めでフォールするとカウントに合わせて「エビ、エビ、エビ~~~~!!!!!」と大絶叫。
経験を積み、学び、知恵を育むことは大事。でもその過程で失われるものもあります。私自身「ハードボイルド書店員日記」を書く際に「ここでワンテンポ置いて」「この話を伏線に」と小賢しく策を練る己を発見して愕然とすることがあります。昔は小説を創るのが大好きで、ただただ夢中だったのに。
学ぶ前の心を忘れぬまま学びたいです。
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