書店が「売り上げ」を伸ばすなら
2年前の記事です。紀伊國屋書店の社長のインタビュー、興味深く読ませていただきました。
「紀伊國屋書店は大まかに言えば売上高の半分が店舗で販売する小売の店売部門、もう半分は大学や企業向けに販売する営業部門だ」
このくだりが衝撃でした。営業が強いとは聞いていましたが、まさか半分とは。
もはやリアル店舗は売り上げを支える絶対的な生命線ではない。少なくとも紀伊國屋の場合は。だからこそ休業によるダメージも大きくなかった。八重洲ブックセンターや三省堂みたいに大量の在庫を抱える本店を閉店せずに済んだ。そういう解釈は十分成り立ちます。
インタビューの中でも現場の選書やサービスには触れず、海外展開やオンライン注文の強化を今後の戦略に据えています。
もしかしたら「国内のリアル書店はもう頭打ちだから、他の部門で売り上げを伸ばす」というビジネスモデルでしょうか? もちろん経営者としてのシビアな判断の難しさは私には想像もできません。でもやっぱり寂しい。
「紙の本を売る本屋」としてできることがある。果たすべき使命がある。出版不況を言い訳にしない。noteで何度か紹介している表参道「青山ブックセンター」の山下店長や篠崎「読書のすすめ」の清水店主はそういう考え方をしています。私も同じ気持ちです。
売り上げを伸ばすなら「本屋としての王道ど真ん中の仕事=良い本をたくさん紹介する」で伸ばしたい。その気概を失いたくない。言葉で言うほど簡単ではないこともわかっています。現場の書店員の厳しさを日々肌身に感じているので。
自分の棚を強化する時間があまりないのですが、なんとか隙間を見つけてやっていきます。いま仕入れたい本は↓です。読みながら「いまウチのお客さんはこういう本を読みたいのでは?」と感じた一冊。
私は「読書のすすめ」のオンラインショップで購入しました。ぜひ。