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「読みたい本クエスト」で遊ぼう

「心地いい不便さ」

またまた山下店長の名言が飛び出しました。いつも素晴らしい記事をありがとうございます。

青山ブックセンターにはお店の在庫を調べる検索機がありません。あの広さで置かないのは、ちょっとした「英断」だったはず。お客さんから「何でないの?」という声も出たでしょうし。

私の働く書店には二台置かれています。でも実際に活用してくれるお客さんはハッキリ言って少数。ほとんどの人は調べないで店員に訊くか、諦めて帰るかです。

お問い合わせには、もちろん喜んで対応します。でもたとえば大量の荷物を必死に運んでいるときに声を掛けられると「検索機使って~」と思うこともあります。お年寄りならまだしも、意外に若い人が多いので。

機械はタダじゃありません。使ってもらえないのであれば、人件費に還元するか他のサービス向上に役立てた方が有意義。でもそれ以上に、私は青山ブックセンターで検索機に頼るのはもったいないと考えます。どの棚にあるかと想像力を働かせる「書籍をめぐる冒険」を楽しんで欲しいから。

これがたとえば池袋のジュンク堂書店だったら、検索機がないと困ります。地下1階から9階までありますから。逆に以前紹介した表参道の「山陽堂書店」や篠崎の「読書のすすめ」みたいな個人経営のお店では、すぐに全在庫をチェックできます。RPGでお目当てのアイテムや人物を見つけ出すような絶妙なゲーム感で遊べるのは、青山ブックセンターぐらいの規模がジャストなのです。

在庫はあるかもしれないし、ないかもしれない。なかったらお店の人に訊ねて注文してもいい。でももうひとつ青山ブックセンターならではの利点があります。それは「『探していた本』以上に『読みたいと思える本』に出会えること」。この現象が頻繁に起こるのです。

自分の目と足で探し回って見出し、衝動買いした運命の一冊は感慨深いものです。内容が心身に深く染み渡ります。これが「検索機を置いていない」がゆえの僥倖であるなら、まさに「心地いい不便さ」と言えるでしょう。

また近々新たな「冒険」を求めてお邪魔します。





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