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内幕3︰本屋は売りたい本を売れない
皆さんは、本がどのようにして本屋に並ぶか知っていますか?
本屋に並んでいる本は、どのような基準で並んでいるか知っていますか?
実は、他の業界ではあり得ない特殊な制度によって決まっているんです。
まず、本の流通について説明します。
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本屋に本が並ぶのには、おおまかにわけて二通りあります。
一つ目は、出版社→本屋に直接本が届いて並ぶ場合です。
二つ目は、出版社→取次→本屋と本が届いて並ぶ場合です。
出版業界において、基本的には出版社→取次→本屋の流れになります。
出版社は、本の企画・編集・製作をして、取次に本を販売します。
取次は、出版社から本を仕入れて、本屋に本を販売し、配送します。
そして、代金請求・回収までを担います。
取次とは言わば、本の問屋のことをさします。
では、本屋に並ぶ本はどのような基準で店頭に並べられているのでしょうか。
多くの方は、『取次(本の問屋)で本屋が売りたい本を買って売る』と思われるのではないでしょうか。
実は、違います。
本屋は『売りたい本を仕入れて売れない』のです。
「え?どういうこと?」て思いますよね。
基本的には『売りたい本を仕入れて販売できない』制度になっているんです。
これを、『配本制度(新刊配本)』と言います。
この制度は次のようになります。
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例えば、次のような流れになります。
①■■出版社から〇〇本を取次が10冊仕入れる
②取次は仕入れた本を、各本屋の情報を元に送る冊数を決める
※▲▲書店は駅前にあって売れそうだから3冊送ろう
※✕✕書店は前回あまり売ってくれなかったから1冊にしよう
※◇◇書店は大型でモールに入ってるから売れそうだし、6冊送ろう
配本制度には、メリットもあればデメリットもあります。
メリットとしては、【取次がデータを元にその本屋で売れるであろう本を届けてくれる】があります。
年間約7万種類(一日約200冊)もの本が発行されるので、それを本屋でひとつひとつ調べながら仕入れるのは、あまりにも手間と時間がかかりすぎます。
その点で、取次の方が本屋の特性に合わせて本を届けてくれるので、便利で助かりますよね。
デメリットとしては、【送られてきた本を並べるだけなので、売りたい本を売ることができない】があります。
基本的に、本屋は取次から送られてきた本を並べるだけの仕事になります。
毎日、何の本が何冊入荷してくるのかもわからなかったりすることもあります。
また、「この本欲しいんだけど」と取次に言っても「販売実績がないからダメ」と断られることもあります。
そして、「この本売りたくないな」と思ったものがあったとしても仕方なく店頭に並べて販売しないといけないこともあります。
もちろん、例外として出版社から直接仕入れることもできますが、基本的には本屋は取次から配本された本を並べることになります。
この制度のお陰で業務も楽になり、続けられているという本屋もあると思います。
だけど、取次配本に頼ってばかりでは必ず限界はくると思います。
“売りたい本をしっかりと責任をもって売る”
これこそが本屋がこれからも存続していくために必要なことだと僕は思います。
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