Vol11:本屋と出版社が生き残るのは、直取引買切りかAmazon排除しかないのかもしれない
多くの本屋が閉店したり、出版社が倒産している現状において得策はないのだろうか。
このような現状を招いてしまったのは、ずっと変わろうとしない業界の悪しき制度が原因であることは言うまでもない。
国がようやく重い腰を上げて手助けをしようとしているが、スピード感が無い上に、将来の施策ばかりが目に付く。
出版・書店業界において重要なのは、“未来”ではなく“今”なのだ。
“今”生き残るための施策が必要であり、そうこうしている間にも次々に本屋は閉まり、出版社は倒産していく。
しかしながら、当事者である本屋や出版社も真剣に考える必要がある。
出版社の多くは、“電子版”に力を入れてきている。
その方が、コストを最小限に抑えることが出来るからだ。
印刷代や紙代、輸送コストがかからない。
何より、“利益”を確保することができる。
存続していくためには、当然と言えば当然だ。
しかし、それだけでは難しいため、紙の本も販売していく必要はあるのだ。
本屋は、そうした電子書籍やオンライン書店の影響を受けている。
再販制度があるため、利益は少ない。
それに比べ経費はどんどん上がっていく。
閉店するのは当然と言えば当然だ。
では、出版社や本屋に残された道はないのか。
私が考える得策は、“特別感”をだすことだ。
具体的には、『Amazonに卸さないこと』と『直取引買切り』だ。
Amazonに卸さないということは、本を購入する場所が“限られる”ということだ。
つまり、「本屋に行かなければ手に入らない」「出版社から直接購入しなければならない」という二通りの手段しかないのだ。
直取引買切りについては、「利益が確保できる」ことと「本を売ろうとする意識になる」点が挙げられるだろう。
取次を通さないことで、本屋の利益率をあげることができる。
また、買切りにすることで、返品できないので売らなければ売上に繋がらないという意識が芽生えるのではないだろうか。
これについては、多くのメリットが考えられる。
本屋にとってのメリットを以下に記してみる。
・お客さんに来てもらって購入してもらうので、“利益の確保”が出来る
・訪問したお客様は他の本を購入してくれるかもしれないという“相乗効果”が見込める
・普段オンライン書店でしか購入しないお客様が本屋に出向くことで、“売上UP”に繋がる
出版社にとってのメリットは次のようなことだ。
・知らなかった人に知ってもらうことによる企業の“ブランド化”に繋がる
・Amazonや取次を通さないので、“利益”が見込める
・出版社は自社販売サイトを持つことで“オンライン書店”として運営可能となる
・買い切りにすることで“返品リスク”がなくなる。売上見込みがたつ
当然、デメリットもある。
直取引買切という条件に対しての抵抗がある本屋は多いだろう。
また、本屋は各々の出版社と直接口座を開かなければならないため経理などの処理が大変になるだろう。
出版社にとっても、自社販売サイトの運営や管理が負担になるかもしれない。
また、直取引で取引相手が増える分、現場の事務作業が大変になるだろう。
直取引買切りになるとチェーン店など多くの本屋は嫌う可能性があるので、独立系書店などに絞られるため、多くの販売が見込めない可能性もある。
しかしながら、著者によっては一定数の“ファン”がいるため、どうしても欲しいと思うファンは、出向いてでも欲しいと思うのではないだろうか。
現状に甘んじていては決して現状打破は出来ない。
他に頼るだけではなく、自ら生き残りをかけて色々なことにチャレンジしていかなければ、明るい未来は見えてこないと思う。