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内幕5︰ なぜ、本屋は潰れていくのか

“本との出会いの場”と聞いて、どこが思い浮かびますか?

本屋ですか? 
ブックオフなどの古本屋ですか? 
それとも町の図書館ですか?

身の回りには、実は“本との出会いの場”はたくさんあるんです。

その中でも特に、いま『本屋』が急激に無くなってきています。

全盛期には20,000店舗以上の本屋がありましたが、今では10,000店舗を割り、半数以下になってしまいました。

また、日本全国の自治体1,741市区町村のうち、本屋が無い自治体は485市町村なんです。
その割合は、全自治体の約3割にのぼります。

毎月1〜2自治体で本屋が無くなっているんです。

特に、沖縄・長野・奈良では過半数の自治体で書店がありません。

本屋が閉店している理由として、良く言われているのが、“インターネット通販の普及”“電子書籍の台頭”があげられます。

本当に原因はそれだけでしょうか。
本屋が閉店してしまう理由、それは“業界の構造”“本屋の甘え”にあると私は思います。

出版業界・書店業界の構造は、他の業界とかなり異なっています。
つまり、業界の構造によって本屋は苦しめられ、利益を確保することができずに閉店に追いやられてしまうのです。
もちろん、本屋側にも販売責任などあると思います。

その構造による弊害が、【本屋は本を販売する際に、値段を自ら決めることが出来ない】ということです。

詳しくは、以前書いた記事をご覧下さい。

再販制度という制度によって、本屋は販売する本の価格を決められないんです。
この制度は、世界中でも日本だけです。かなり驚きです。

そのため、本屋が本を一冊売って得られる粗利益は大体22%〜24%です。

つまり、1000円の本を販売した場合、利益は220円〜240円です。

利益が少なければ、賃金上昇や光熱費の高騰、クレジット決済の手数料など経営を圧迫し、本屋を続けていくことが厳しくなります。

万引きでもされたら書籍代を賄うために数冊売らなければならないのです。

本屋は、薄利多売な商売です。
たくさん売らなければ儲からない仕組みになっているんです。

また構造の問題だけでなく、時代の変化と共に“変化しようとしなかった”本屋にも原因があると思います。

環境の変化や進歩によって、本屋に行かなくてもAmazonや楽天などのオンラインで本を購入することができます。
家にいれば翌日には届けてくれるのでとても便利です。

タブレットやスマホで、電子書籍を読むこともできます。
持ち運びも便利で、何よりかさばらない。

通販での購入や電子書籍が悪いとは思いません。
買うものが決まっている場合は、即購入できるのでとても便利です。
そしてなにより、色々な選択肢があることはいいことだと思います。 
自分が良いと思うものを選択してくれたらそれでいいと思います。

購入目的によって使いわけをしていけばいいんです。

本屋営業を17年やってきましたが、多くの本屋は17年前でも今でも考え方や本を売ろうとする姿勢は変わっていないように感じます。

全ての本屋がそうだとはいいません。

どんなに経営が厳しくなっても、試行錯誤しながら『文化の担い手として何とか残していくんだ』と頑張っている本屋もあります。

本を如何にして読者に届けるのか。
本屋で本を買うメリットは何なのか。
本屋にきてもらうためにはどうするのか。
本屋で本を買う目的は何のか。

真剣に考えていかなければ未来は見えてきません。
まず、出来る限りのことをやってみることが必要です。

僕は、本屋には本屋の良さがあると思います。
実際に行かなければ“体験”できないことがあるんです。
それが【本との出会い】です。

今まであまり読まなかったジャンルの本との出会い。
人生を変えるような本との出会い。

たまたま目についた本が、今後の人生に影響を与えることは多くあるんです。

本には人生を変えるだけの力があります。
そんな素晴らしい本に出会えるきっかけとなる場が本屋なんです。

これから未来を支えていく子供達のためにも本屋は大切な居場所です。


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