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たぬきの日記
2021年6月27日 23:04
中城からのバスはおよそ一時間半。左手に海、右手に山を望みながら、小さな町から町をわたってゆくと、不意に都市部に入る。姫の名前を冠したバス停に止まると、追い越した乗用車が斜め前で停車し、その後ろのタクシーがクラクションを鳴らして急かしている。南国の人間もせっかちなものだ。那覇についたことに気づくと同時にバスの窓に雨が降り始めた。後部ガラスに叩きつけるような音がしたかと思うと突然のスコール。車
2020年2月7日 21:01
夜行バスを降りた早朝の御堂筋は乾いた冷たさ。大阪に来るときはいつも早朝だった気がする。人間はいないけれど、ビジネス街という場はそこに残されたままになっていて、もうすこし時間がたてば再び人間で満たされてゆく。丁度一年前に大阪に来たときは、中国へ飛ぶために関空へゆく中継地点だった。そのとき、行こうと思った珈琲店は定休日で、泣く泣く梅田の地下街で早朝にあいている喫茶店を探した結果、泉の広場の一角に流れ着
2019年10月20日 21:01
故宮博物院、頭のおかしい彫刻と名品たち。玉でできた白菜とお肉は有名だが、それは色がいい感じだから有名になっているだけで、すごいのは二つだけじゃない。ゴーヤを始め、リアリティを追求した彫刻たちがたくさん。玉だけではない。これは香木に山水画の如き人々を彫りこんだもの。議論をしている人たちがいたり、書きものをしている人がいたりする。一見、見た目が派手な壺や器だが……。これは内部が何層にも彫ら
2019年10月15日 23:37
台南は台湾の古都。古都と言っても清代や東インド会社統治からの独立時代以降の中心地である。高鐵で読書をしていたら平然と乗り過ごし、終点左營まで行ってしまった。こういう悠長なことをするようになるあたり、台湾生活に慣れてきた感じがする。幸い外国人限定の高鐵乗り放題チケットを使っていたので、せっかくだし駅の外へ出たものの、あまり面白くなかったのですぐ折り返した。高鐵台南駅から台南市街地まではさらに
2019年10月14日 23:30
現在の首都台北と、古都台南のちょうど中間あたりに位置する台中は、台湾で最も住みやすい街とも言われている。前夜、週末の帰省で立ち乗りの乗客も多い高鐵で台北から約1時間かけて高鐵台中駅までやってきた。友人からのメッセージ通りの系統のバスに乗り、高速道に入ると渋滞である。かれこれ1時間。乗り換えのバス停で友人と待ち合わせた。彼女は日本語も流暢で、この数日において日本語で話しかけられることは少なかった
2019年10月13日 23:49
澎湖島にはそういえば大きなビーチが少ない気がする。しかし行きやすい場所で特に大きいのが隘門ビーチとその東にある林投ビーチ。空港から歩いて20分くらい南側にある。例の通り空港の英語案内カウンターでビーチに行きたいと伝えると、手書きで道案内の地図を書いてくれたうえ、オススメの喫茶店と割引券もくれた。優しい。徒歩20分って意外と遠いのでは、と思ったが、実際そこそこ遠かった。だが道中農村とまではいか
2019年10月12日 21:31
台湾南西部、台北から飛行機でちょうど1時間、北回帰線にほど近いところに澎湖諸島という島嶼がある。国内線のターミナルである松山空港までの沿線は雑然とした街が続いていて、台湾の都市らしい生活と文明が混然一体とした一つの塊のような空間である。飛行機はプロペラ機。思っていたよりも静かで、いいフライト。機内にモニターは無いので、緊急脱出装置や救命胴衣のアナウンスは機内音声とキャビンアテンダントの実演
2019年9月29日 00:33
台北・桃園国際空港、小雨。空港から台北へ向かう地下鉄MRTは明らかな観光客を容れながら速度を上げていた。しばらくすると地上へ出て台湾郊外、新北の街並みが見える。空港から地下鉄へは地下で直結なので、台湾の街を見るのはここが初めて。日本に比べて都市生活と農耕生活の距離感が近く、やがて夜市が開かれるであろう空間と田畑の区画が同様に並べられていた。しばらくすると鉄道が減速を始め、よろよろと高架を進んで