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2019/09/18 (回想録 Vol.10: 台湾[1])

台北・桃園国際空港、小雨。空港から台北へ向かう地下鉄MRTは明らかな観光客を容れながら速度を上げていた。しばらくすると地上へ出て台湾郊外、新北の街並みが見える。

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空港から地下鉄へは地下で直結なので、台湾の街を見るのはここが初めて。日本に比べて都市生活と農耕生活の距離感が近く、やがて夜市が開かれるであろう空間と田畑の区画が同様に並べられていた。しばらくすると鉄道が減速を始め、よろよろと高架を進んでいる。システムトラブルのため次の駅で停止するらしい。入国早々である。
近くにいた日本人女性は英語はわからないらしく何事かわからず戸惑っていた様子だったが、強制的に降ろされた駅で駅員が「台北!台北!follow me!」と案内してくれていたので誰しもが雰囲気で分かったようだった。

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夕方前に台北についた後は九份へ。噂通り、バス停では客引きのタクシーに声を掛けられる。自分以外に3人集められたら話に乗ると条件を付けたらうまく人を見つけてきたので乗った。割高だが話も面白い。時間の節約にもなった。

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九份は有名な夜の観光地である。中国茶、杏仁茶、蝦餅やパイナップルケーキなどありそうなものはたいてい並んでいる。

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犬も猫も自由である。細い路地の階段の真ん中で眠る犬は撫でられようが写真を撮られようが我存ぜぬ顔で寝ている。時々後ろを振り返るが、行き交う観光客を気にしているわけではなさそうだった。

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九份茶房では、中国茶の淹れ方を教えてくれる。まずはお湯で茶器を温めて、お湯を捨てる。匙で茶葉を淹れるための容器に茶葉を移し、その容器を使って茶器に茶葉を淹れる。お湯を注ぐ。蓋をかぶせる。
十秒。
中くらいの茶器にお茶をすべて注ぐ。茶葉が入らないように。そしてようやく飲むための茶器に茶を注ぐ。貴妃茶。一杯目は甘い香りのたつ黄色。果実のような香り。二杯目はお湯を注いで待つ時間は短くてよい。
五秒。
次はやや苦みも含んだお茶らしい香ばしさ。色もやや茶色い。
他の観光客が遠くで何かしゃべっている。トイレを探している人もいる。上の階で誰かが茶器を床に落とした音もした。

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およそ八時を回ると店じまいである。半分おろしたシャッター越しに若い女性が喋っている。豆腐の塊のようなものを仕込んでいる老齢の男性がいる。さっきまで寝ていた猫は、どこか路地の奥へ帰っていった。
帰りのバス停にも人があふれていた。数か国語で客引きをするラジオを流している店は、既にシャッターが閉まっている。バスが到着すると、自然に乗り込む人々と、かすかにざわめく観光客にわかれて、バスのライトとともに山間の道へまた一台が去っていった。

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