2019/09/20 (回想録 Vol.12: 台湾[3])
澎湖島にはそういえば大きなビーチが少ない気がする。しかし行きやすい場所で特に大きいのが隘門ビーチとその東にある林投ビーチ。空港から歩いて20分くらい南側にある。
例の通り空港の英語案内カウンターでビーチに行きたいと伝えると、手書きで道案内の地図を書いてくれたうえ、オススメの喫茶店と割引券もくれた。優しい。
徒歩20分って意外と遠いのでは、と思ったが、実際そこそこ遠かった。だが道中農村とまではいかないが人々の農作生活を感じられる景色が続いていて、穏やかであった。日差しこそ南国の厳しさだが、どこも心地よい風が吹き抜けていて涼やかだ。
海と町を隔てる林を通り抜ける道の風景はどこか日本とも似ている。
隘門ビーチは空港からアクセスがしやすいこともあり人気の観光スポットらしく、隘と愛をかけて愛門ビーチとも呼ばれて親しまれる。このオブジェが有名。
THEビーチと言う感じ。午前の早い時間だったこともありあまり人はいなかった。露店の裏口から誰かの飼い犬が入り込んで店主が大きな声を出していた。
個人的に好きだったのはさらに東に5分くらい言ったところにある林投ビーチだ。トーチカのようなものが残っていたり、件の喫茶店があったり、比較的静かなビーチである。ここでは子連れの夫婦がのんびりしていた。
喫茶店は及林春という。店内には小幸運などちょっと前の流行りのC-POPが流れていて、ゆったりした時間を過ごすことができた。若い店員さんは英語もすこし話せたので気楽だった。目の色素の薄い女性で、不思議な雰囲気を纏っていたが、ケーキとアイスコーヒーを頼んだうち、ケーキだけを出して裏方へ消えてしまった(あとで聞いたら忘れていたらしい)。こういう適当さというかおおらかさも台湾のいいところ。途中で団体さんがやってきて世間話をし始め盛り上がっていた。
ちなみに割引券は88%になるもので、やたらここで小銭が増えた。
林投ビーチの付近には亡くなった軍人をまつった大きな建造物がある。
かなり立派で、野戦砲や戦車も展示してある。サボテン園なんかもある。
昼のフライトで本土に戻ることになっていたのだが、帰りの道は異常に名残惜しかった。途中、すれ違った釣り人から好奇の視線を感じたりしながら、空港へ戻る。
空港も前からも近くの街にある媽祖廟の屋根が見える。海の守り神はこの島に根付いているのだとしみじみ感じた。
台北に戻ると雨。しばし時間があったので北門から西門跡、総督府を経て東門、そして中山紀念堂へ。いまや大都市となった台北だが史跡を歩けばその距離感とサイズ感を実感することができる。
中山紀念堂ではイベントの準備の最中で、テントを張ったりマイクテストをしたりしてざわついていた。マイクテストの人が「一~、一~、二~~、二~~(イー、イー、アー、アー)」と妙な調子で大声を出していて、何だか面白くてフフッとなった。中国語を知らない日本人だから面白く聞こえているだけだろうと思ったが、近くにいた台湾人の女の子もそれを真似て声に出しながら笑い転げていたので、彼らにとっても面白かったのだろう。些細なところで彼らとのつながりを感じたものだった。
夜は友人の住む台中へ。夜市や夜の大学キャンパスを案内してもらいながら、台湾人の生活に少しずつ溶けていった。