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九段下パルチザン / ビブリオテーク・ド・キノコ・マガジン

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2019年12月の記事一覧

mirror | daily

mirror | daily

アルゴリズムが世界を支配する、と言われていますが、それはなぜなのかという話にはいくつかのアプローチがあります。

人間の思考もアルゴリズムに従っているのでその仕組が解明され、よりよい意思決定ができるようになる、という見解もあれば、機械学習とビッグデータによって人間の思考よりもより合理的な判断をするようになるので、人間に判断の権限はなくなる、という見解もあります。他はよく知りませんが、まあ機械の支配

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自由になるのは大変なのだ | weekly

自由になるのは大変なのだ | weekly

「海辺にお城を建てたので遊びに来てください」
18年ぶりに来た友人からの手紙にはそう書いてあった。
ドローンで撮影したと思しき絵葉書の写真は、確かにお城と言われても納得の行く建物で、まさかそれが個人の別荘だとは周囲の住人も思わなかっただろう。昔から節操のない人間ではあると思ってはいたが、やりたいと思ったことは実現するというバイタリティもあったということで、それは評価すべきところなのではないかと思う

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【お知らせ】Weekly Magazine年末年始の発行予定につきまして

【お知らせ】Weekly Magazine年末年始の発行予定につきまして

日頃はBibliothèque de KINOKO Weekly Magazineをご愛読、ご支援いただきまして誠にありがとうございます。
2019年3月に発行を開始いたしましたこのマガジンもはや8ヶ月が経つということになります。事実上なにひとつ約束をしないなかでたくさんの読者の皆さまにお読みいただいておりますことには心より御礼申しあげます。

さて、その2019年もいよいよ押し詰まってまいりまし

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tunnel | daily

tunnel | daily

トンネルを抜ける時の緊張感は、抜けた瞬間に世界が破滅しているのではないかという危惧があるからで、高速道路を運転しているときなどはよく一人で妄想の翼を広げる。この先に待ち構えているのは新潟などではなく、タイムトリップしてしまい348年経った世界なのではないか、などと考える。おそらく自動運転などが実装されてくるとさらに暇になった人類は、もっと過激な妄想をすることになるだろう。

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カネのいろは/嘘をつく紳士たち|weekly

カネのいろは/嘘をつく紳士たち|weekly

今週は、うでパスタが書く。

「カネにイロはない」などというやつは、決まってカネに困っている。大きな車を乗り回し、派手な女を連れて高いワインを飲んでいたって事務所の家賃を滞納していたりするのだ。取り立てる方も「何か事情があるにちがいない」と思いこんであまり追い込まないので、こういう人間は見た目ではなかなか分からない。しかし立ち回りには特徴があるので「ん?」と思ったときには直感を信じなければならない

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顔の見分け方 | daily

顔の見分け方 | daily

ある人とまた別の人に会った後に、こんな顔だったね、という話をすると驚くほど人の顔を覚えていない人というのがいます。人の顔をまじまじと見るのは失礼なので極力見ないようにしていた、とか、まあ理由は色々あるようですが、会ったのに顔を覚えてないのは失礼じゃないんだ、と思ってしまいます。まあ文化の違いということなのでしょうか。

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教養としての | weekly

教養としての | weekly

「不動産屋さんについて路地を歩いていると金木犀の香りがした。金木犀の香りだ、と気がついた時にはもう笑い声が口から漏れ出ていて、不動産屋さんは怪訝そうな顔でこちらを振り返った。どうかしましたか、と言う不動産屋さんに、ほら、金木犀の香りがするでしょう?と言うと彼は香りのもとを探すべく周囲を見回した。地図で見た時には分からなかったが、路地の周囲には高層のタワーマンションがいくつも建っており、この路地もい

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四季、二十四節気、七十二候 | daily

四季、二十四節気、七十二候 | daily

日本には四季があった。そして、季節の移ろいを愉しむために、二十四節気七十二候という区分もあった。あった、と過去形になってしまうのは、ある種の区分というものは変化するからだ。今はもう、二十四節気七十二候ができた頃とは周期が違うし、そもそも暦が違う。
暦というのは古くに発明されたアイディアだけれども、それは繰り返される自然の移ろいを記述するために作り出されたものであったが、いつの間にか暦の上では、とい

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