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起きない奇跡、醒めない夢【ショートショート】
嫌味じゃないお香の香り、
程よい日当たりの窓には品の良いカーテン。
僕のために毎日メイキングされた寝具に
埋もれながら、ハッと目が覚める。
まだ外は暗い…
時計の針が差すのは 3:04
あぁ、まただ…
そろそろ朝まで眠れないものか。
靴を浅く履き、部屋の中を数歩すすむ。
毎日こんな時間に起きる自分は
いったいどんな顔をしているのか…
確認しようと壁に向かう。
『…あ、そうか。鏡外したんだっ
嘘なら、夢ならよかったのに(後編)【夢見る恋愛小説】
数日後、本当にプリンセスは現れた。
目を丸くして驚いている兄弟に、
『来るって言ったじゃない?』
と茶目っ気たっぷりに微笑んでいる。
1つ、2つと咲き始めた薔薇を数える後ろ姿。
1度の奇跡で終われば、
なかったことにできたかもしれない。
平凡な毎日に麗しいプリンセスが登場して、
心を奪われないなんてできるだろうか。
それは10才のぼくにも、
年の離れた兄にも同時に訪れた初恋。
決して、結
嘘なら、夢ならよかったのに(前編)【夢見る恋愛小説】
どうして僕たちは出逢ったんだろう?
出逢わなければよかった?
ほかの未来があった?
そんなことできた?
今でもたしかに、こんなに愛しい気持ちだけはっきりとここにあるのに…
~※~※~※~
ぼくと兄は家の近くにある、
平凡な田舎の教会に花の手入れに来ている。
頼まれた訳でも雇われているわけでもないが、代々我が家がやっている。
ぼくと兄は少し年が離れている。
ぼくはまだまだ子どもだけど、
ようこそ、僕たちの部屋へ【夢見る恋愛小説】
私は今から、この怪しい扉の奥へ
一歩踏み出そうとしている。
ただでさえ入りにくい雰囲気なのに、
入り口の謎の黒猫ちゃんが
私の勇気を試すかのようにこちらを見てる。
知らなかった…。
私の住む街にこんなところがあるなんて。
それは先週末のことだった。
ここのところ仕事が忙しくバタバタしていて
友達との連絡も疎かになっていた私。
突然、昔からの仲良しグループに
呼び出された。
私を含めて5人、
待ち合わせは、プレゼントと一緒に【夢見る恋愛小説】
ーーー数年前のバレンタインデー。
突然、君がチョコをくれた。
毎年、たくさんのチョコを抱えて家に帰る僕のことを、今までただ笑うだけだったのに。
僕たちは、幼い頃から共に育った。
むしろ産まれる前から。
誕生日が約1ヶ月しか違わないご近所さん。
それはもう母親たちは、僕たちがまだお腹の中にいる頃から予定日が近いことで意気投合。
典型的な ‘家族ぐるみで仲良し’
というお付き合いの環境で育った。
待ち合わせは、いらない【夢見る恋愛小説】
もしもあの頃の僕が
「恋」というものを自覚していたら、
片想いと片想いが出逢って「両想い」という
マジックが起こせたのだろうか…
高校3年の春、
高校生活最後のクラス替えの掲示を見てから
僕は新しいクラスの下駄箱へ向かった。
明日からしばらく気をつけないと、
朝ボーッとしてたら無意識に2年の下駄箱に
着いてアレ?なんてことになる。
脱いだ靴を手に取ろうと下を向き、
起き上がった時に話しかけられ