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やまなし文学賞の受賞作品集が出ました
この春にやまなし文学賞をいただいた小説「クレソン」が収録の『第三十二回 やまなし文学賞受賞作品集』(山梨日日新聞社)が刊行されました。うれしい…。
小林安慈さん「流刑地にて」、春名美咲さん「二人、溺れてる」、そして町田康さん、堀江敏幸さん、青山七恵さんによる選評も掲載されています。ちなみに町田康さんの選評のタイトルは「素晴らしい作品群」です! 作品群、読んでみてください…!よかったら…ぜひ…!
新学期・ブレイバーン・選評
新学期が始まるので、子供のスモックの胸の部分に布名札を縫いつけるということをしていたら、1枚につきおよそ40分以上かかってしまった。
進級のたびに毎年やっていることで、最初の年は「こんなん5分10分だろう」とたかをくくっていたら、思っていたよりも時間がかかることにげっそりとしたものだった。効率よく素早くやろうとするほどに、てきめんに無残に縫い目が乱れた。布用ボンドという手もあるが、あれは繰り返し洗
「クレソン」新聞連載と表彰式
昨日3月16日から、やまなし文学賞受賞作「クレソン」の連載が山梨日日新聞で始まっています。全20回(日曜・月曜と、祝日翌日は掲載休み)で、甲府市の画家の古屋良昭さんによるとても印象的な挿画も掲載されています。
また昨日は山梨県立文学館で表彰式もありました。
選考委員の町田康さん、堀江敏幸さん、青山七恵さん、それに三枝昻之館長ともお話しさせてもらいました。関係者の方やそのご家族の方にも声を掛けて
やまなし文学賞を受賞しました
昨年秋に応募した「クレソン」という題の小説が、このたび第32回やまなし文学賞を受賞しました。
応募総数は621編で、選考委員は町田康さん、堀江敏幸さん、青山七恵さんです。なんと……。受賞の連絡をいただいたとき、喜びとあわせて現実感のなさにすうっと血の気が引いていきました。
「クレソン」は3月中旬より山梨日日新聞で連載され、のちに「やまなし文学賞作品集」として刊行されるそうです。機会があれば、ぜ
2023年に買ってよかったもの
去年買って生活が便利になったり改善されたものを記録します。
無印良品 ウールクルーネックTシャツ
Tシャツとあるけれど、透け感があるので冬のインナーとして使用。3枚買って毎日着ています。ウール100%なのでサラッとしていて温かく、防臭効果が高い。旅先で着替え用を1枚忘れたときに二日連続で着ても汗や臭いが気になりませんでした。
ポルトガル製のウール混ソックス
足が冷えやすいので秋冬に履いてい
2023年に読んでおもしろかった本
2023年はさほど本が読めず、また悲しいかな読めてもどんどん内容を忘れていきました。そんなぼんやりした記憶の中でも「おもしろかったな」と印象に残った本です。
◾️『われらみな食人種 : レヴィ=ストロース随筆集』レヴィ=ストロース
以前にレヴィ=ストロース入門の新書を読んだときに、いとこ婚の分析のところが複雑すぎて頭が煮えたってしまった記憶がある。しかしこれはエッセイなのでそこまでむずかしくな
イーディス・パールマンを繰り返し読む
2023年はイーディス・パールマンという短編小説作家を知って、その作品を繰り返し読む年でした。現時点で邦訳は『双眼鏡からの眺め』(早川書房)、『蜜のように甘く』『幸いなるハリー』(ともに亜紀書房)の3冊が出ていて、そのどれもが本当にすばらしかった。人間あんまり見事なものを目の当たりにすると呆然として言葉を無くしてしまうものだけれど、イーディス・パールマンの作品群にもそういうものがあった。一編読み終
もっとみる段取り八分『ザ・キラー』
Netflix映画『ザ・キラー』(デヴィッド・フィンチャー監督)を観ました。仕事のできる殺し屋がうっかりミスをしてしまい、クライアントから落とし前の襲撃を受ける。その報復を粛々としていくというあらすじ。
この「粛々と」部分がおもしろくて見入ってしまった。「段取り八分、仕事二分」という言葉があるけれど、この「段取り八分」部分を大変に冴え冴えと見せている。それで残りの「仕事二分」は状況に翻弄されつつ
生活など召使いに任せておけ
などとうっすら考えていたことがある。若い頃、召使いもいないのに。生活のような些事は脇に置いて、もっと重要で大切なことにかまけるべきだと。自分のささやかすぎる暮らしにはあまり目を向けず、いい本や映画、音楽、美術、そういった素晴らしいものに意識を向けよう。そういうマインドでいたら案の定、すべてのものが仮置き、仮決めで、仮暮らしの砂の中になにもかも埋もれていった。
ところがここ最近は生活ばかりである。
娘は母をいかに殺す/殺さないのか「水星の魔女」
「父殺し」という言葉がある。「オイディプス王」「カラマーゾフの兄弟」「スターウォーズ」など、物語の中で繰り返し描かれてきた「息子が父親を殺す」というモチーフを指す。この言葉に、女の自分はどこか他人事というか、蚊帳の外のような感覚を抱いてきた。息子が父親を殺すなら、娘は母親にどう立ち向かうか、という物語はあまりに少ない。父親が息子に立ちはだかる壁なら、母親と娘というのは重なり合うベン図の二つの円のよ
もっとみるガンダムとアニメわからない人(じん)の観る「水星の魔女」
「機動戦士ガンダム 水星の魔女」を配信で楽しく観ています。自分は年に1シーズン、アニメを観るか観ないかという人間で(最近ので記憶に残るのは映像研とイド:インヴェイデッドくらい)、ガンダムは20代の頃、職場でファーストの漫画を「これ知ってれば世間のおじさんとの会話に困らないから」とゴルフでも勧められるような具合に貸されて読んだくらい。
そういう何もわかってないのがアニメのガンダムを初めて観て、楽し
笑うしかない居心地の悪さ「アトランタ」
悪夢というほどではないけれど、変な汗をかいて目覚める夢がある。往来でズボンを穿いていない。駅に行きたいのにたどり着かない。試験前なのに授業そのものに出ていない。
こういう夢には妙なリアルさがあって、非現実的というよりも、超現実的と言ったほうがいいような変な後味がある。
ドラマ「アトランタ」S1に感じるのは、そんなちょっと嫌な夢にあるような超現実感と困惑させられるおかしみだ。
ドナルド・グローヴァ
小説講座に行ったら小説を書けるのか
もう10年ほど昔になりますが、小説を書けるようになりたくて大阪文学学校の小説クラスというところに毎週土曜に通っていました。
それ以前もごく短い小説を書いて同人誌に載せたり、文学新人賞に応募して一次落ちしたことはあったのですが、どうにもそこから書きあぐねるというか行き詰まりを感じていたのです。
小説なんて基本一人で取り組むもので、学校に行ったからって書けるようになるのか…?と半信半疑でしたが、結論
Netflixドラマ『ダーク』と『1899』へのファンレター
Netflixドラマ『ダーク』を観たのはもう2年も前になるのに、今でも視聴中のあの時間をうっとりと思い出してしまう。
ドイツのドラマである。自然豊かな小さな田舎町を舞台に、狭い人間関係がいろいろと入り組んでいる風である。そこに子供の連続失踪事件が起こる。
陰鬱なミステリーサスペンス風に幕を開けるこの作品は、実は超ド級のSFかつ、のっぴきならなすぎる人間ドラマである。こんなの今まで見たこともない