朝香春

「この世界の一部が機能不全を起こした200年後」という妄想「#大丈夫本舗の人びと」、自分の余命宣告受けた時のことを綴る日記「#雑談のノリで余命宣告されたので」を気ままに更新します

朝香春

「この世界の一部が機能不全を起こした200年後」という妄想「#大丈夫本舗の人びと」、自分の余命宣告受けた時のことを綴る日記「#雑談のノリで余命宣告されたので」を気ままに更新します

マガジン

  • 雑談のノリで余命宣告されたので

    先日、雑談のノリで余命宣告受けまして。 ”希望としまして、延命措置せず「ピンピンころり」を選択しました。" 父と暮らした数カ月の話

  • 怖い話:風のうわさ

最近の記事

やること6、仕事を任せる方法を考える

「おはよう」 机の上に書類を置いた微風で小さな赤べこがコクンと頷く。 赤べこの前には「至急」だの「月曜朝イチで」の付箋がおひねりのように撒かれている。 隣の席の森田あんずがチラチラ何か言いたげに様子をうかがっている。 用事があるくせに「声をかけられるのを待ってます」というのが面倒臭い。ここは会社だぞ。 癪なので無視してパソコンを立ち上げ、付箋の内容をひとつひとつ確認していく。 ・至急:月曜日朝イチの会議で使う資料6部用意して 解良 ・月曜朝イチで:解良課長から、資料6部お願

    • 2耳目:タトゥー師について

      友人のKがタトゥーを入れた。 「本当は乙一の『平面いぬ』のタトゥー入れてもらおうと思ったんだけどね。」 彼女の右脇腹の下辺りでチラチラと美しい蓮の花が咲いていた。 「『聖観音菩薩』のマーク?お守りなんだって。綺麗だからいいけどさ」 どこのお店か聞くとどうやら駅から2分程の距離にある雑居ビルに入っているようだった。 意外なことにGoogle mapでの評価は4.6と驚くほど高い。 「評価5つけないと帰しませんみたいなお店じゃないよね?」 「クチコミもあるっぽいけど…『おかげで

      • 1耳目:お姉ちゃん

        十年ぶりに数合わせで合コンに呼ばれました。大人しくオーダー係を務め、相槌をうち、2次会を断って直帰を勝ち取りました。その中で、 どうしても頭から離れず気になったお話があったのでまとめました。 後ろの席から聞こえてきた、誰かの幼少期のお話。 ●便宜上「私」が体験したこととして記述しています。 ●特定されない程度に情報がぼかされている場合があります。 今はもう霊感なんてないんだけど、小さいときは何もない空間をじっと見つめたり、話しかけたりしていたらしい。 あまりにも頻繁で不気

        • やること5、読書感想文を書いてみる

          結局いつもより25分早めに会社に着いた。 1階に併設されているカフェには顔見知りが数名、各々の時間を過ごしている。 同様にコーヒーを啜りながら父への読書感想文を組み立てることにした。 受賞作と言っても、読みたいジャンルの相性というものがある。 サクッと読める量の純文学なら「芥川賞」、 起承転結を追うタイプの文学は「山本周五郎賞」、 ほぼ確実に面白い本を、というのであれば「メフィスト賞」であろう。 審査員たちが読んで「面白い!」となったら受賞&即刊行されるのだ。 出版編集者た

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        • 雑談のノリで余命宣告されたので
          10本
        • 怖い話:風のうわさ
          2本

        記事

          少しだけ生きやすくなる習慣

          疲れが溜まると精神面、身体面にガタがくる。 こんな経験をされている方も少なくないと思います。 「疲れを溜めないこと」で自ずと生活の質は上がる。」 では、疲れを溜めないってどうしてるの? 少しだけ、でも確実に人生が好転していく習慣を3つ並べてみます。 1日は3つのブロックで考える 私の仕事はハイブリッド型。 朝8時からお昼の1時までは「人と会う」お仕事。 午後2時から夕方6時までは「黙々と進める」仕事。 夜7時から10時までは「自分と向き合う」時間。 こんな働き方ができる時

          少しだけ生きやすくなる習慣

          体調が悪すぎる

          物語調で自分のことを書くって難しいですね。 死にそうすぎてそんな余裕ない。 という気持ちになったり、 今年いっぱいで今まで達成してなかったこと片付けるぞ! と、闘志が燃える日があったり、 情緒が乱気流に乗ってる。そんな状況です。 ですが、しょせん人の日記です。 自分のエンディングノートも兼ねてるかもしれないし、 旅立つ何日前あたりはこんな気分という備忘録の日があっても良いのかもしれない。

          体調が悪すぎる

          やること4、読みたい本を読む

          仮に1年数ヶ月の命だとして、あと何冊読めるか考えるとおよそ50冊くらいになるはずだ。 現に父から渡された本屋大賞の本も300ページほどだったから読了まで1週間かかるだろう。 学生時代、文献を大量に読み漁る学部に4年いたおかげで、活字アレルギーを起こすことはない。が、問題は内容だ。 感情の起伏が激しい物語は乗り物酔いみたいな胸焼けが残ってしまう。 薄さのわりに情報が押し込まれ、ちょっと仲良くなっただけのキャラが死に、最後は決まって主人公が前向きな感想を残す。 どこで感動できる

          やること4、読みたい本を読む

          やること3、父と暮らす

          血便が出た。 もしかしたら、バリウム出すのに力んで切れ痔になっただけかも。 検査結果来る前に肛門科行くか…いや、もう少し材料集まってからにしよう。 5:48。父は起きてお茶をしばいてた。 「お父さんおはよう」 「おはよう。お茶いる?」 「うん、ありがとう。」 天気雨がしとしと降る音をBGMに、 お茶をすする音、新聞のパラパラめくれる音が縁側に落ちる。 子どもの頃はこのBGMに公文の宿題を解く鉛筆の音が混じっていた。 これが1番落ち着く。 退去希望の連絡を管理会社に伝え

          やること3、父と暮らす

          イカロスの夢2

          何もないはずの駅に降り立つと、 例の駅員と誰かが言い争っているようだった。 何を話してるのかまでは聞き取れなかった。 するとどこからか出てきた黒い影のようなものに、 その人が囲まれて、消えた。 怖いとか逃げなきゃみたいな気持ちは起きなかった。 「別のお客さんも来るんだ。」 「…顔みました?」 「いいえ、ぼんやり影っぽくて全然。話してた言葉もよくわからなかったです。」 「そうでしたか。いつも通りこちらから…」 「あのチケットって無くしたり破れたりしたら無効だと思うんですが、

          イカロスの夢2

          やること2、祝福せよ

          結局実家に着いたのは夕方6時で真っ暗だった。 「おかえり、何かあったの?」 「私の誕生日祝って欲しくて帰ってきた。お父さんの好きなモンブランにしたよ」 祝福してほしいのは本音だったのかもしれない。 思えば祝福どころか、誕生日だったのに散々だった。 「何歳になったんだっけ?」 「34かな。」 「そっか。じゃあ刺身で一杯やるか。」 語呂合わせで刺身になった。 31って言ってたらサーティワン祭りだったかもしれないのか。 35だったらなんだろう。サイコロステーキかな。 私のた

          やること2、祝福せよ

          やること1、断捨離

          事情聴取が終わって解放されたところでマウイと合流した。 松井という苗字だが、彼の顔の濃さと体格の良さに敬意を表して「マウイ」というあだ名が定着した。 「警察沙汰か?手上げてないか?大丈夫か?」 「自分からは手出してないから大丈夫だ。ありがとう。」 「せっかくだし、気晴らしに喫茶店でも行くか?」 「その前に病院に用がある。」 火曜日に保険証や診察券を取りに行こうと思っていたが、サトシの件があったので病院に連絡を入れ保険証と診察券を受け取った。 「記入した問診票はデータ入力した

          やること1、断捨離

          再会

          「もしもし、どうしたの?」 「今日って時間ある?昨日のMRIの結果でお話ししたいことがあるんだけど。」 「ない。じゃ、」 「あ、待って!水族館デートしませんか?」 「は?むり。」と言って切った。 なぜ、私がMRIを受けたことを知ってるんだ?仮に病院の職員だとしても、守秘義務という観点で先に個別で電話をかけるのはいかがなものか。そもそもいつサトシと電話番号交換した? 朝から腹立たしい。 車ではなく、電車とバスを乗り継いでいくことにした。 時間はたっぷりある。遠足気分で駅に着く

          誕生日、人間ドックへ行くことに

          「最近、イカロス…鳥人間コンテストしながら島から脱出するみたいな夢見るのよね。」 「なんだかICO(昔の孤島脱出ゲーム)みたいだね。」 ユナのくちびるが桜色に塗り変わる。春色のリップいいな。 「毎回流れは一緒なんだけど、駅員さんから返される切符の有効期限だけ、どんどんカウントダウンしてくの」 「えー、余命宣告みたい」 「でも健康診断でどこも異常ないんだよ?」 「いうて、今までバリウムとか血液検査なかったじゃん?まさかのがん見つかったりして」 ユナのまつ毛が2倍の長さになって

          誕生日、人間ドックへ行くことに

          プロローグ: パイプ椅子のイカロス

          夢の中で空を飛ぶ。 よくある夢のひとつだと思う。 でも、「パイプ椅子振り回してたら空飛んでたわ」 なんて人は稀だと思う。 その夢の中でパイプ椅子を操って、翼のように自在に飛べた。 「エーゲ海はええ下界…」 しょうもないことを言った瞬間、バランスを崩して落ちかけた。 幸い近くの駅に無事降り立つことができた。 よく見ると蔦が絡まり、廃屋と化した駅舎だった。 誰もいない。 左から快速電車が颯爽と駆けていく。 風が心地いい。レモンの香りも漂ってくる。 レールを辿ればどこかの駅に着

          プロローグ: パイプ椅子のイカロス

          作者の自己紹介まだだった

          初めまして。 朝香春(あさかはる)と申します。 普段は立ち仕事と座り仕事のWワークをしています。 北緯69.7°、東経170.3° の港町出身ですが、 日本人に帰化して30年。 義務教育も高校教育もまじめに受けて、 日本語にどっぷり浸かってきたおかげで、 かつての母国語が宇宙語に聞こえます。 『(有)大丈夫本舗の人びと』、 はほのかに記憶している港町が舞台になっています。 (某国崩壊前で極貧でしたが、現在は違うと思います) 政治が云々とかそういう思想はないんですが、 「

          作者の自己紹介まだだった