アンジのCBTとの出会い:10年前を振り返るCognitive Behavioral Therapy (認知行動療法)
人生を変える出会いがある。
アンジには、そういった出会いが幾度かあって、それで、今、生きているんだと思う。
大げさではない。
殺人未遂そのものが、人生を変えた出会いでもあるけど、
その後、生き延びれたのは、
幾度も、優しく賢い人たちに出会って、
助けられたからだ。
体が回復した後も続いた心の傷と恐怖によって、
自分自身の命を諦めずに、
メンタルの回復も一生懸命頑張って、
今、奇跡的に、楽しく夢のような人生を送っているのは、
優しく賢い人たちに出会って、
知恵を授かったから。
善も悪も、両方含めて、ヒューマニティを知って、
なんて美しく尊い人生を送っているんだろうと
振り返るたびに心が澄んで、温かいため息が出る。
だから、アンジも、ランダムに出会う人たちに、
私が受け取った知恵と力と美しさを
バトンタッチしていこうと思っている。
CBTとの出会い
生まれて初めて「CBT」という言葉を聞いたのは、10年以上も前。
ニューヨークのお医者さんと初デートのとき。
トロントで開催されたカンファレンス(血液学会)で出会って、
20ー30分ほど、仕事の話をしていて、
彼から、
「この後、どうするの?」
「予定がなければ、
一緒にこのステキな街でディナーしよう」💏と。
それで、
2人でディナーに来ていて、本当に話が合う人で、この人と心の底から解り合えるな💚と、美味しい食事と会話を楽しんでいた。
2、3時間、語り合っていたんだと思う。
まったく関係ない話をしている間に、急に、彼は真剣な顔になって、
アンジの目の奥底まで見つめて、
一呼吸おいて、
はっきり、ゆっくりした口調で、
こう言った。
" Don't take medications. Ok? Do this; CBT. "
「 薬は飲まないでね。 わかった? 代わりに、これをやるんだよ。CBT。 」
ずっと私の目を見ながらそう言ったら、
次に、学会で配られていたボールペンを出して、テーブルナプキンに、こう書いた。
CBT: Cognitive Behavioral Therapy
ん?
急に、何が始まっている??今?
何の話?
ナプキンの文字を黙って眺めていると、
" I think I know what happened to you. "
「 アンジ。 あなたの過去に何が起きたのか、僕は分かっていると思う。」
ずっと目を見つめ合っているから、
彼の優しさと勇敢さから、
この話を切り出してきているのは、
分かる。
優しさと心配と、私が本当に良く治ってほしい、という真摯な希望。
それ以外の気持ちは、何も持っていないと思う。
人間同士に自然に備わっている、助け合いとケアと愛。
純粋さだけを持って、私に接してくれているから、
私の身に起きたことに対する、私自身の引け目や恥や反省などは、
この場面に出てこようにも、出る場は無い。
私は、彼に、そういった場面を作ってくれたことに
本当に今でも感謝している。
知らないことに対して、まずは、不信感を持つ私だが、
彼にこう言われて、素直に、取り組んでみようと思った。
それにしても、
私の身に起こったことなんか、
逃げ出してきて、人生を立て直して、
その後、
決して、
誰にも打ち明けたことはなかった。
外国でヒューマントラフィック(人身取引)の被害にあったとか、
性的暴力の被害者だとか、
殺されかけたとか、そんな話をしたら、友達なくす。
しかも、学会で出会って仕事の話をしていて、
そんなプロフェッショナルな場で出会った人に、
いちいち、なんで、そんなプライベートなことを持ち出す必要ある?!
しかも、初対面で言うか?
「どうして分かったの?」
" Ange, Because… I'm a doctor. "
「 アンジ、僕は、 医者だから。 」
今夜、ずっと一緒に話をしていて、分かるんだ。
アンジ、あなたは、明るくて朗らかで優しくて聡明で、僕はあなたが好きだ。
僕は独身だし、
昼間に出会った時、
すごく綺麗な人だと思って惚れたんだ。
けど、もう今は、僕からあなたに性的なことは
何もしないほうが良いと思っている。
" I embrace you non-sexually. "
そう言って、
優しく微笑んで、
彼の左手で優しく、私の右手をとって、
その上に、彼の右手を、もっと優しく重ねて、
暖かく優しく見つめてくれた。
最初は、お互いに惹かれていたんだけど、
今は、魅力とかは関係なく、ただ、ただ、優しさだけだった。
そして、
この人は、本当に客観的に信じられんくらいカッコよくて、ハンサムなんだけど、
私の生い立ちのために、悲しいデートの終わりとなったとさ。
翌日は、学会の最終日。
彼からメッセージが来た。
「明日の朝には、ニューヨークに戻るけど、
今夜、空いてたら、またディナーしよう」
一緒にディナーを食べて、
トロントの綺麗な通りをぶらぶら散歩して、
建築や彫刻やストリートアートを見物して、
「ニューヨークに来たら、連絡してね。
僕はマンハッタンに居る。」
といって、バイバイ した。
ニューヨークに会いに行かなかったけど、
病気のことで知りたいことがあったり、
辛いことがあった時は、
いつも、メッセージをやり取りして応援してくれた。
ちなみに、
彼は、「医者だから分かるんだ」と言っていたけど、
決して、医者なら誰でも分かる訳ではないと思う。
彼との出会いの後でも、医者の友達は他にも出来たけど、
何年も友達していても、
私の過去のことなんか、想像だにしていないと思う。
この人が、鋭い観察力と知恵があって、たまたま、分かったんだと思う。
そんな人に出会うべきタイミングで出会えたおかげで、
CBTを始めて、変な他の医者から薬の処方を勧められても、
この彼に、ドクターとしてセカンドオピニオンをもらい、
薬は要らない、あなたは鬱ではない、
トラウマを乗り越えようとしている段階なんだと言われ、
CBT以外にも、どんどん、薬以外のトラウマの回復方法を総合的に知り、
頑張って、本当に努力して取り組んで、
みるみる元どおりの自分が帰ってきた。
愛と勇気を選ぶ
#あの選択をしたから
というのは、
私の選択の話ではない。
彼の選択のことだ。
彼が、まず、<その1> 私がCBTを必要としていたことを察知したこと、
<その2> 察知したからって、その話題を持ち出さないで、彼の立場からデートを楽しめばよかったかもしれないところ、自分の欲求よりも、私のニーズを優先してくれたこと、
それが、彼が #あの選択をしたから、
今、私が、生きている理由のひとつだ。
しかも、私が健やかに健康に生きている理由のおおきなひとつだ。
というのも、私たちサバイバーは、暴力の現場を逃げ切っただけが、命に関わる要素なのではない。逃げた後、もしくはレスキューされた後、かなり長い回復の間は、心身ともに弱まっているので、心を傷つけられたり、また、世の中に知られたくない自分の情報を悪い人たちが嗅ぎつけて、その情報を武器にして、付け込まれたりすると、生きていける勇気がなくなって、命を絶ってしまうことが多いことを知ってもらいたい。
この彼は、自分勝手さは、まったく無くて、
人間同士の、誰にでも奥底に持ち合わせている愛に満ち溢れていたんだとおもう。
それは、魅力とか欲求とか、関係なくて、
自分 v.s. 相手という対峙の構図もなくて、
あなたの幸せは私の幸せという、本当に自然な気持ちなんだとおもう。
幾度も、知らない人たちから優しさを受け取って、新しい人生を始められた。
だから、私も、出会う人、それぞれに、よく注目して、わかりあおうとして、
私が受け取った、こんな自然な愛を、できるだけパスしていこうとしている。
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