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サービスとおもてなしについて考えよう

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12年間の接客経験からおもてなしについて綴ったマガジン。
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記事一覧

お客様とは会話をしている?対話をしている?

「会話」と「対話」の違いって、言われてみればちょっとモヤッとしてますよね。 同じようで全く違うことを最近知りました。 違いを簡潔にまとめると、 お客様と接するときにも、 同郷だったり、同じ趣味を持っている方だったりして会話が弾んだ! なんて経験は誰しもあるのではないでしょうか。 しかし一方で、会話が弾んだにもかかわらず、大して印象に残らない場合もあります。 もしかして、それは「会話」だけで終わってしまったからではないでしょうか? 対話ができると印象に残る? 先日、滋

後輩を褒めない。でも、モチベートする。

こんにちは、あんでぃです。 今日はふと気づいた、後輩社員へのモチベートについて綴りたいと思います。 お客様と楽しそうに会話をする後輩 先日、お客様の館内案内をしている後輩社員を見て、ふと思いました。 「あ、いい笑顔しているな。」 男性お一人の旅行でしょうか。 大浴場の利用時間などを案内しながら、二人でにこやかに会話をしています。 傍から見ると、決められたサービスを提供するスタッフ、といった感じには見えません。 久々に友人と再会したかのよう。 彼女のほほは嬉しさで緩んでい

提案力から生まれるWin-Win|床屋さんで接客について考えた③

床屋さんでの接客を目の当たりにして、接客のコアスキルとは?をテーマにした連載最後の3本目です。 前回までで、 観察力と想像力 質問力 について綴ってきました。 しっかりお客様の行動を観察し、お客様の心理を想像する。 そしてさらにお客様の潜在的なニーズを掘り下げるための質問をする。 そうすることで浮き出てきたお客様の心の叫び… これに応えるには? というのが今回のテーマです。 あなただからこそ提案できる解決策は? 最初の例に戻ります。 ある日、床屋さんはお客さんより

どうやって隠れたニーズを引き出すか|床屋さんで接客について考えた②

前回の床屋さんで考えた接客スキルの続編です。前回はこちら。 初老の男性が理髪師に白髪染めについて質問していたけれど、本当の願いは 【汚く見えないようにしたい】 だったということ。 そして、接客業において、大切なスキルは観察力と想像力であること。 しかしながら、その他にも大切なスキルはあると私は考えています。 声にならない願い 久々に床屋さんを訪れ、鏡の前に座った見慣れた自分の顔を見つめる。 (はぁ、ボサボサ頭で白髪が目立つなぁ。また娘に嫌な顔されるかなぁ) 昔は「

顧客の本当の願いは言葉に出ない|床屋さんで接客について考えた①

「白髪多くないですか?染めた方がいいですかね?」 節目がちな初老の男性は恥ずかしそうに、理髪師に尋ねていた。 無造作に伸びた白髪混じりの頭髪。 しばらくハサミが入っていないことは明らかだった… 先日の床屋さんでの光景である。 二つ隣の席に腰掛けた初老男性の言動。 その後の理髪師の対応。 どちらにもとても興味が惹かれた。 まさに職業病である。 お客さんの本当の心の叫び 初老の男性は何を求めていたのだろうか? 私も散髪をしてもらいながら、ずーっと考えていた。 質問を言葉通

不信感を持ったお客様と接する時の二つの心構え

先日はクレームの存在しない職場環境というテーマで語りました。 接客業では、クレームではなくとも、お客様の期待に添えず、不信感を抱かれるケースは多かれ少なかれ存在します。 今日は不信感を抱いたお客様に対して、どのような心構えで対応をしたらいいのか? という問いに対して、私の経験をシェアします。 この心構えを意識してみたら、お客様の負の感情をポジティブに変換することができるかもしれません。 不信感が起こるのはいつ?? 私は、界 玉造という老舗の温泉旅館で働いています。 老

クレームが全く存在しない職場環境とは?

こんにちは、あんでぃです。 温泉旅館、界 玉造にやって来て12年ほどになります。 日々、旅の思い出をつくりにいらっしゃるお客様と接していますが、今までクレームを体験したことがありません。 それはなぜでしょう? お客様相手のお仕事でクレームを受けないなんてありえないじゃないか! と思われるかもしれません。 ごもっともです。 私たちはこう考えます。 クレームがない、というよりも、 私たちの辞書には「クレーム」という言葉が存在しないのです。 クレームとは? そもそもクレー

おひとりさまへのおもてなしを考える

行きつけのカフェ、コメダ珈琲。 書き物をしたいなぁ。 本をゆっくり読みたいなぁ。 そんな思いが頭をよぎると、無意識に足が向かっているコーヒー屋さんだ。 ルーティンのように雑誌棚から手にするのが、日経MJ。 マーケティングに関わる記事が紙面を埋め尽くしていて、昨今のトレンドに触れさせてくれる。 田舎暮らしの自分に刺激を与えてくれるありがたい存在。 今日もいつも通りざーっと目を通していた。 すると、こんな見出しが飛び込んできた。 『ホテルでひとりステイ、おこもりする女性が

おもてなしの醍醐味はお客様の期待に添えないときに生まれる

こんにちは、あんでぃです。 接客業において、お客様の期待に添えずに、どうしても無理をお願いしなければいけない場合がありますよね。 我々旅館業のケースでは、例えばお食事時間の提案。 界の夕食では基本的に二部制(17:30と19:30のスタート)をとっています。 お食事会場の席数だったり、出勤スタッフの都合で、どちらかの時間帯の席が先に埋まってしまうことがあります。 例えば、こんなケース。 そんなときに、どのようにお客様と接したらいいのでしょうか? 正面突破の猪突猛進A

ジブリの世界観のシーフードレストラン。心を揺さぶられた店員さんのお声がけ。

前回は日本のサービス業のレベルが高いよね〜 ってお話を紹介しました。 つい先日、同じように気持ちいいサービスを受けることができました。 この『気持ちいい!』と感じるに至った体験を振り返り、おもてなしについて考えてみます。 まさにジブリの世界じゃん! 先日、私の誕生日を迎えた日のこと。 ディナーに行こう!と妻が誘ってくれました。 以前から気になっていたという、松江市の街中にあるシーフードバー「4guts(クワトロガッツ)」へ。 街を歩いていて、突如あらわれる異様な世界観

評価の高いカフェで感じた日本的おもてなし

タイから帰国して早3週間。 改めて、日本っていいなぁ、って思う日々です。 何がいいかって? それはサービス業のレベルがとにかく高いことです。 したいなぁ、って思うこと。 こうだったらいいなぁ、って思うこと。 海外と比較すると、 「まさに痒い所に手が届く」そんなサービスに溢れていると感じるのです。 外国の方からは、 「日本は不便なことが多いけど、サービスはとてもいい。言葉は通じなくても、なんとかしようと気を遣ってくれる。」 というような言葉をよくいただきます。 (お客様

過剰に反応しない!接客業に最強におすすめしたい習慣をタイで叫ぶ。

こんにちは、あんでぃです。 本日はタイへの一人旅6日目です。 外は雨。 傘もないので、今日は1日宿のカフェでnote書いたり、本を読んだり、のんびり過ごそうかな、なんて考えています。 どんな1日にデザインするか? そんなことを自由に、主体的に決められるのが旅の醍醐味ですね。 さて、今日は接客業をする方におすすめの習慣についてお伝えしていきます。 その習慣とはズバリ、、、 瞑想です!!! 実は、今回タイに来ることになったのも、この瞑想がきっかけだったんです。 瞑想したこと

満足度の高い接客をするにはこの三点だよ!と私は新入社員に伝えた。

最近、新入社員からこんなことを聞かれました。 「以前あんでぃさん宛てにこんな感じのお客様の声があったと聞きました。 あんでぃさんみたいにお客様に満足いただくにはどうしたらいいですか?」 なるほど。 お客様に満足していただきたいというピュアな思い。 向上心があって、素敵すぎる。 これはなんとしても答えてあげたい。 自分で言うのもなんですが、結構同じようなお褒めの言葉をいただくことが多いです。 どうしてでしょうか? 一言で言えば、「歴史が好きだから」に尽きます。 ただ、

10年間の旅館経験で役に立ったクッション言葉

おそらく数百年前の温泉旅館のお客様は、そのほとんどが湯治(温泉にはいって療養すること)を目当てにしていたことでしょう。 いまや、温泉旅館に宿泊するお客様の目的は様々。 多様な目的を持ったお客様へ、 こうだったらいいなを察知する。 こうだったらを叶える。 それだけでなく、 こうだったらを超えた滞在の演出をする。 予想外の感動が生まれる… そんな場面を演出することができるのが、旅館業の難しさでもあり、醍醐味でもあると日々実感しています。 本日は、滞在の演出をするための接客用語