おもてなしの醍醐味はお客様の期待に添えないときに生まれる
こんにちは、あんでぃです。
接客業において、お客様の期待に添えずに、どうしても無理をお願いしなければいけない場合がありますよね。
我々旅館業のケースでは、例えばお食事時間の提案。
界の夕食では基本的に二部制(17:30と19:30のスタート)をとっています。
お食事会場の席数だったり、出勤スタッフの都合で、どちらかの時間帯の席が先に埋まってしまうことがあります。
例えば、こんなケース。
そんなときに、どのようにお客様と接したらいいのでしょうか?
正面突破の猪突猛進A君の場合
まずは新人A君のケースを見てみましょう。
「○○様、本日の夕食のお時間ですが、19:30の席が満席となっております。17:30からのお時間でよろしいでしょうか?」
「そうですか…仕方ないですね。じゃあ、17:30で!」
とおっしゃるお客様もいるかもしれませんが、なかなかそうは問屋がおろしません。
お客様の気持ちになってみれば、事前に19:30がいいと言っていたのに関わらず、その気持ちがないがしろにされています。
仮に、OKしたとしても、あとで何かモヤモヤが残りそうですね。
いつも相手を気遣うBさんの場合
さて、A君の失敗を知ったBさんはこんな風にお伝えしてみます。
「○○様、本日の夕食のお時間ですが、19:30からのお食事がご希望と伺っております。あいにく、19:30の席が満席となっております。ご期待に添えずに申し訳ありませんが、17:30からのお時間でよろしいでしょうか?」
Bさんはお客様の希望を復唱した上で、「ご期待に添えず」とクッション言葉を使っています。
Aさんのお伝えよりは幾分、寄り添ってもらえてる感じはしますね。
ただ、どうしても旅館側の都合感が強い。
やっぱり
「お風呂入ってスッキリしてから食事したい!」
という気持ちがどうにも勝ってしまいそうな気がします。
寄り添い上手のCさんの場合
最後に、どんな時でも相手に寄り添うことを信条としているCさんの場合。
彼女はこのようにお伝えします。
「○○様、本日は夜のお時間に伝統芸能の石見神楽の披露がございます。その他、地酒をお楽しみいただく日本酒BARもご用意しております。
お食事時間の件、19:30からのお食事がご希望と伺っておりましたが、あいにく、19:30席が満席となっております。
ご期待に添えずに申し訳ありませんが、神楽や日本酒BARなどごゆっくりお楽しみいただくためにも、17:30からのお食事をおすすめしておりますが、いかがでしょうか?」
どうでしょうか?
Aさん、Bさんと比較すると、よりお客様に寄り添った提案になっているような気がしませんか。
特に大きく違うのは、お願いではなく、提案をしている点です。
私たちは、神楽や日本酒BARを楽しんでいただきたい。
前半のお食事だとゆっくり楽しんでいただける。
だから前半をおすすめしたい。
これは、お客様にお伺いしているのではなく、よりよい滞在スケジュールというお客様にとってのメリットを提案しているのです。
提案内容はお客様によって違う
もちろん、この提案はお客様によって内容を変える必要があります。
文化や伝統、お酒などに興味がある方には上記の伝え方がよいでしょう。
もし、お子様をお連れの方だったら、喫食時間が長い(19:30だとお食事の終わりが遅くなる)ことから早い時間をお勧めする。
温泉街に興味のある方だったら、早い時間に食事をした跡、提灯を持って夜の温泉街そぞろ歩きを提案してみる。
いずれにせよ、
・お客様が何に興味をもっているのか?
・お客様が何に不安を感じているのか?
・お客様にとってどのようなメリットが提案できるのか?
といった、お客様を観察する力が大切になってくることでしょう。
おもてなし業の醍醐味はいつ生まれる?
旅館でのお食事時間のケースを例に、お客様の希望に添えないケースの対応についてご紹介しました。
接客サービス業において、このようなケースは日々遭遇します。
・販売店でお客様の希望するサイズ・色の在庫がない場合
・飲食店で希望する席をご用意できない時
・料金の値上げをする時
などなど。
そんなときに共通して考えるべきことは、
お客様の不安・心配に寄り添い、お客様にとってのメリットを提案するということではないでしょうか。
ときにはかなり難しいケースもあることでしょう。
しかしながら、私は上記のような提案をしたときに、
「あ、それもいいね!なんかいろいろ楽しめそう。ありがとう!」
と逆に感謝されることもあります。
こちらの提案がお客様に納得されたとき、そして時には感動を生んだとき、おもてなしの醍醐味を感じられるのだと思います。
以上、本日は、お客様のご期待に添えない時の提案について綴りました。
接客サービスにおいての参考になれば幸いです。
おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。