クレームが全く存在しない職場環境とは?
こんにちは、あんでぃです。
温泉旅館、界 玉造にやって来て12年ほどになります。
日々、旅の思い出をつくりにいらっしゃるお客様と接していますが、今までクレームを体験したことがありません。
それはなぜでしょう?
お客様相手のお仕事でクレームを受けないなんてありえないじゃないか!
と思われるかもしれません。
ごもっともです。
私たちはこう考えます。
クレームがない、というよりも、
私たちの辞書には「クレーム」という言葉が存在しないのです。
クレームとは?
そもそもクレームとはなんでしょう?
goo辞書によれば、
とあります。
宿泊業ですので、商取引は行っていますし、賠償の請求をされたり、苦情を受けることももちろんあります。
しかし、私たちはどのようなケースにおいても、クレームとは捉えていません。
それを、お客様のお困りごとと捉えているのです。
なぜそう捉えるのか。
そこにはお客様との関係性の考え方にヒントがあります。
クレームと捉えると起こること
クレームと捉えてしまうと、私たちとお客様の関係が対等ではなくなります。
・苦情を言うお客様
・お約束を守れなかったスタッフ(会社)
という縦の関係性が発生します。
私も過去の仕事で、クレーム対応をした際にいろいろと学びましたが、
なんでこちらが謝らないといけないのか?
という理不尽に思うことが幾度となくありました。
結局のところ、お客様側に過失や勘違いがあったにもかかわらず、波風を立てないようにこちら側が折れる…
そんなことがあるたびに、
「あぁ、無情…」
とつぶやいたものです。
客観的に見てもおかしなことがまかり通るのは、対等な立場で物事を対処しないからこそ起こってしまいます。
また、クレーム処理と言う言葉にも違和感がありました。
処理って…
自分がお客様側だったら、なんか嫌じゃないですか?
苦情を言ったら、処理される。
うまく言葉にできませんが、私は真摯に対応されている気がしません。
では、お困りごとと捉えるとどう変わるのでしょうか?
お困りごとと捉えるとどう変わる
チェックインをした後に、こんな引き継ぎをされることがあります。
「客室に不備があったため、お客様がお困りです。」
例えば、客室の不備でいえば、
露天風呂のお湯の温度が低い
エアコンがついていない
照明が切れている
髪の毛が落ちている
といったように、設備の問題だったり、清掃不備などが発生します。
明らかにこちら側の過失です。
お客様側の問題ではありません。
もちろん、こちらの過失であることに対しては、丁重に謝罪をします。
しかし、これをクレームではなく、お客様がお困りになっていると捉えることで、お客様と対等な立場で一緒に解決するスタンスを取ります。
設備上の不備であれば、
できることは何かを素早く考え、
どういった対処ができそうかとお客様に説明し、
お客様にお願いすることは何かを提案する。
納得いただけなければ、こちらで他にできそうなことを考え尽くす。
もちろん、納得いただけない時もあります。
お困りとは言えないくらい、お怒りの時もあります。
しかし、クレーム処理のように、ただただお客様の話を伺い、謝り続け、譲歩するのではありません。
とにかく解決の道を考え抜きます。
顧客は友人という前提
このような考え方には独自の企業文化が根付いていることではないか、と私は感じています。
星野佳路の代表挨拶から引用します。
友人として結んでいく役割を持った私たち。
入社した時から「顧客は友人」という言葉を何度も聞いてきました。
遠方から訪ねてきた友人のように、お客様をおもてなす。
それはクレーム対応のように上下の関係ではなく、横の関係。
以前、サービスとおもてなしの違いについて綴りましたが、こちらの右側のイメージです。
私はこの姿勢がとても大切だと実感しています。
お困りの方に対して、どうにか支援し、よりよい滞在になるよう全力を尽くす。
その真摯な姿勢に対して、時には逆に感謝されることすらあるのです。
クレームの存在を無くしてしまおう
クレームとお困りごと。
ただの言葉の違いと思われるかもしれません。
しかし、お客様と対等な関係でおもてなすことが前提であれば、そもそも「クレーム」という言葉に違和感を感じるようになることでしょう。
結果的にはお互いにとってベストな解決方法を見出す努力をするわけですから、クレームの存在しない環境であるべきだ、と私は考えています。
ただ、とは言っても…
このような不備を起こさないことが何より大切ですよね。
お困りごとが発生した時は必ず原因追求と、恒久的な対策を素早く打つことを心がけるようにしていきたいです。
以上、本日はクレームの存在しない職場環境について綴りました。
参考になれば幸いです。
おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。