どうやって隠れたニーズを引き出すか|床屋さんで接客について考えた②
前回の床屋さんで考えた接客スキルの続編です。前回はこちら。
初老の男性が理髪師に白髪染めについて質問していたけれど、本当の願いは
【汚く見えないようにしたい】
だったということ。
そして、接客業において、大切なスキルは観察力と想像力であること。
しかしながら、その他にも大切なスキルはあると私は考えています。
声にならない願い
久々に床屋さんを訪れ、鏡の前に座った見慣れた自分の顔を見つめる。
(はぁ、ボサボサ頭で白髪が目立つなぁ。また娘に嫌な顔されるかなぁ)
昔は「パパ〜」と甘えながら近づいてきた娘も年頃になると、全く近づかなくなってきた。
家の外で偶然あっても、他人のふりをされてしまう。
(歳も取って、白髪も増えて、不潔だと思われているんだろうな。そろそろ白髪染めしといた方がいいんだろうか…)
そう思いながら、準備が整いこちらに目を向けた理髪師に尋ねる。
「白髪多くないですか?染めた方がいいですかね?」
男性の目的は白髪染めではなく、不潔に見せないこと。
白髪染めとは目的ではなく、あくまで手段。
このように、お客様の言葉には手段が目的のように聞こえることがあります。
接客時には言葉尻だけを捉えて満足せず、その裏にどんな本音が隠れているか、常に注意を払っておきたいものです。
顧客はドリルを買いたい訳では無いんだ!
マーケティングの名著と言われる「ドリルを売るなら穴を売れ」という書籍では、まさにタイトルがこの状況を示唆しています。
DIYショップに来たお客さんが
「ドリルを買いたいんですが、どれがいいですか?」
と聞いてきたとする。
その時に、店内にあるドリルのラインナップを説明することが果たして正解なのか?
実は、お客さんはドリルを買いたいのではなく、本当は穴を開けたいだけ。
だから、
「穴を開けるにはドリルを買う以外にも○○という方法がある」
といった提案をする=お客さんの本当のニーズに応える
ということになる。
詳細を聞いてみたら、
キリでもいいかもしれない。
買わなくても、レンタルですむかもしれない。
もしかしたら、穴を開けなくてもいいかもしれない。
ドリルを売ることがお店にとっては利益が大きいことでしょう。
つまり、お客さんの本来のニーズに応えることは、短期的に利益が出ないことになる。
しかし、お客様の信頼を勝ち取ることで、長い目でみればプラスになるのではないでしょうか。
これは、今回の床屋さんのケースでも当てはまると思います。
不潔に見えないようなアドバイスをすることとは、すなわち…
・眉毛を切るかどうか
・どのくらいの頻度で髪を切るか
・日々のスタイリングをどうするか
などを伝えることで、お客様の満足度を高めることができそうですよね。
次回の来店予約だったり、スタイリング剤の販売にも繋がるかもしれませんね。
どうやって隠れたニーズを引き出すか?
ここで問題になるのが、言葉にならないニーズをどう引き出すか?
その答えを私は「質問力」だと考えています。
前回の記事で、「観察力」と「想像力」というスキルについて言及しました。
これらのスキルをベースにどういった質問を投げかけるかで、お客様の心の奥底にアクセスすることも可能ではないか、と。
例えば、、、
「白髪多くないですか?染めた方がいいですかね?」
と聞いてきた相手に対して、まずはその質問に対して誠実に考えを述べる。
そして、その後にすかさずこんな質問を投げかけてみる。
「白髪を気にされているようですが、何かお困りでしたか?」
すると、
「いや、最近娘に嫌がられてね…」
といった具合に、心の奥底にあった、けど恥ずかしくって言えなかった悩みをお話ししてくれるかもしれません。
質問する際のポイントとしては、
①相手の質問にまずはしっかりお答えする
②初めの質問がでてきた経緯を詳しく聞いてみる
今までの接客経験からこの二点だと強く感じています。
なお、この際に、よく使える表現が
「ちなみに」
例えば、
「ちなみに白髪のことで何かお困りでしたか?」
と簡単に聞くことができるのでとっても使いやすいです。
「ちなみに」は少しくだけた表現なので、業種によっては
「差し支えなければ」という言葉もうまく活用したいですね。
以上、本日は接客に大切なコアスキル「質問力」について綴りました。
そして、次回は最後に接客において必要なもう一つ大切なスキルについてお話しします。
おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。
星野リゾートの接客スキルの磨き方
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