自然は不自然で楽じゃない
長時間デスクワーカーにとって、姿勢の悪さ、肩こりや腰痛は悩みのひとつである。
座ってPCに向かっているというのは、体力も筋力も使わない点では楽にみえる。でも本当は、首や肩、背中、腰に負担がかかっている。体のしくみにはくわしくないが、たとえば伸びていなければならない背中が曲がり、反対に適度に締まっていなければならないおなかが緩む。
わたしも腰痛持ちだし、例に漏れず猫背・反り腰だ。
だからできるだけ腹筋に力を入れ、背筋を伸ばし、肩甲骨を寄せるように意識している。
昨夜、行きつけの焼き鳥屋さんに行くと、先に常連のご夫婦がカウンターにいらっしゃった。ダンスをしている奥さまは、座っている姿勢も、お手洗いに立つ姿勢も、ダンサー然りピシッとしている。
「いつものことですけれど、姿勢がきれいですよねえ」と、思わず口からこぼれたわたしのほうをみて、「すごい猫背ね!肩も前に入ってるし、だめよそれじゃ!」と奥さま。
そこから「正しい姿勢講座」が始まった。
「よい姿勢をしてみて」といわれて、自分が思うよい姿勢をとってみたのだが、肩甲骨をもっと寄せて!背筋もっと伸ばす!お腹の力抜かない!と、肩・背中・お腹の3箇所をタッチされる。
最後にいう。「これが正しくて自然な人間の姿勢だからね。歯磨きするときとか、洗いものするときとか、意識してみて」
まじかよ。わたしにとっては非常に不自然なんですけど!
こんな姿勢で歯磨きしたら、姿勢を保つのにいっぱいいっぱいで歯を磨く手のほうが止まってしまうよ。
∽∽∽
自然は楽じゃない。
正しい自然と、自分にとっての自然は、こうもズレがあるものか。
「ありのまま」「自分らしく」というけれども、それって「楽」とはまた違うんだろうな。人と関わり合って生きていく以上、自分らしく生きることと、わがまま放題、楽に生きることとは、別物なんだろう。
こうやって書くとあたり前のような気もするけれど、履き違えやすい。
自然に、自分らしく、楽に生きたいとの希望を抱きながら、
社会のなかで生きている以上、ある一定社会に合わせることも必要だ。
だから最低限、法律というルールが定められている。
そしてマナーとかエチケットとか、暗黙の了解とか、最低限の気遣いが存在している。
法律は遵守しなければならないが、マナーやエチケットをどこまで守るかは、ときに社会的な「自然」と、自分にとっての「自然」のあいだの葛藤を招く。
社会のなかで自分らしく在りたいのなら、一本まっすぐ背骨が通った姿勢でなきゃ、なかなか難しい。
だから、きちんと背骨が通った人は素敵だし、魅力的に映るんだろう。
そんなことを、正しい姿勢でPCに向かい、書いてみたわたしである。
今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが正しい姿勢をとるのに意識しているポイントは、どこですか?
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