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読書感想No.11『この本を盗む者は』
こんにちは、天音です。
今回の読書感想は、深緑野分さんの『この本を盗む者は』(角川書店)です。
深緑さんの作品は初めて読みました。
本屋大賞ノミネート作品ということで手に取りましたが、表紙の色合いがとても綺麗でジャケ買いに近かったです。
読んでみると堅実な文章という印象。
私にとってはとても大変読みやすい文体でした。
ではまず、あらすじをご紹介します。
書物の蒐集家の曽祖父を持つ高校生の御倉深冬は、大の本嫌いであった。ある日、曽祖父の蒐集品が納められている「御倉館」で、本の盗難が起こる。御倉館には、盗難者に対する恐ろしい防衛システムが施されていて──。
この本泥棒を追いかけて、物語は動き出します。
1話に1盗難起こるという構成になっていて、初めに読んでいるときは本盗まれすぎじゃないか、という疑問が湧きました。しかしやっぱり作家さんの書くものですね。大体の疑問は、読み進めるにつれてなるほどと気持ちよく解決しました。
伏線全回収です!
深冬の祖母たまきは、本を守るために蔵書に呪いをかけます。
御倉館から本が盗まれたとき、街全体を呪いが覆い、住民が一つの物語の登場人物を演じているような状態なってしまうのです。
呪いを解除するために、御倉の一族である深冬は奮闘します。
その呪いの結末がどんなもので、どうやってかけたのかは是非読んでみてくださいね。
一話ごとに盗まれる本が違い、それに伴い発動する呪いの元となる物語も違います。なので、一話一話読み進めていくと、何冊も別の本を読んだような気になりわくわくしました。
読み終わってAmazonのレビューを読んでいたら、「〇〇風ファンタジー」という例えを使った感想を見つけたので、あえてそういう手法を用いるならば、私は『マジック・ツリーハウス』と同系統かなと思います。
どちらも読んだことのある方、どう思いますか?
また、“本を盗む”という題材が取り扱われているために、読んでいると商品の窃盗に対する書店の苦労がひしひしと伝わってきます。
本に限らず万引きは犯罪なんですけどね。
物語の中で“本に愛される”という表現がありました。
深冬の曽祖父は「本を愛していて、本に愛される人物であった」と。
私はかなり収集癖があるし、収集したものへの保存欲が強いので、その考えを知って少し自分の行動を反省しました。
好きなものを頑なに縛り付けて、しまい込んでいるのも良くないのかな。
そのあたり今後多少は修正しようと思います。
現代ファンタジーで、とても面白い本でした。
深冬が本の中に入るので、読者は二重に物語に飛び込むことになりますね。
そこも楽しいポイントだと思います!
作者である深緑さんの、本や読書、そして執筆に対する情熱を感じられる、重めのパンチの効いた一冊でした!
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