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#詩

世界は実在しないので

世界は実在しないので

夢の砂粒を拾う左手の
だんだんと痙攣していく様
繊細でまばらな睫毛
それすら情報の塊でしかない
あなたは存在しないかもしれない
渇いた唇と真っ直ぐな髪を
触れる左手は
やはり予測された世界モデルなのかもしれない
それでも錯覚できる
事実かどうかよりも
錯覚できることが重要なので
その為にここに来たので
透明なあなたに甘んじている

詩) 世界正解快晴異世界

詩) 世界正解快晴異世界

せ か い せ か い
せ か い せ か い
せ か い せ か い
せ か い せ か い 
せ か い せ か い 
 せ か い せ か い
  せ か い せ か い
   せ か い せ か い
    せ か い せ か い
     せ か い せ か い
      せ か い せ か い
     せ か い せ か い 
    せ か い せ か い 
   せ か い せ

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詩) 数式

詩) 数式

有理数と無理数のように
いつしか発見されるものの中で
膨大な情報が
地球にはまだ隠されている
そんなにも天文学的なものがここにはある
この容れ物に
緻密に設計されたものだなと思う
∞にも種類があるなんて
茜色の空が夕焼けではないことを知っている
僕等の認識できない者達がいるところ
龍の描かれた地図がある
恐らく全ての数式は僕等が宇宙へ還れば思い出すのだろう

世界平和のために

世界平和のために

水曜日を振り返らなくていいです

そんないつもいつも、思い出さなくていい写真を出さないでください

仔猫の仕草はなんでも可愛いので

世界が子猫で埋め尽くされればいいのに

特別なギフトはなくても

可愛くて柔らかいもので満たしてみて

嫉妬という概念なんてポイッとしちゃって

自己実現なんて、そんな欲があるからいけないんだ

無くなりますように

人が人の上に立ったような気分にならなくていい

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肉体は遺灰に

肉体は遺灰に

川底の僕を見ているのは既に亡くなったあなた
だったりする?
そこは宇宙の上の上だよね
文字通り切り離されて手も届かないどんな姿かな
僕の記憶の中の
あなたの肉体はもう燃えて無いけれど
あなたの骨格や組織、皮膚の質感
僕を見る瞳
声帯を
なんで燃やしてしまったのだろう
灰になる45分前の頬に触れたよ
この世の身体はこの世限りだ
全部すくって取っておきたかった
触れて
その手で触れて
拍動と血脈を持っ

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魂の旅

魂の旅

真っ白ぬくもりアンモナイトの仲間
魂の行く先と還る道
遠くへ行きすぎて還り道も分からない
反対のベクトルへ向かない
旅に出るとは聞こえがいいけれど
片道切符を持たされたのだ
振り返っても暗闇しかない
私は大いなるものの一部だったのに
羊の綿に包まれた
微睡みで記憶を曖昧にされた
愛は消え心は空洞になった
剥がれ落ちていく
流星のように
私は大いなるものだったのに
小さく小さくなって
自分も分からな

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プラネタリウム

プラネタリウム

光の道が反射して二つ
鏡のように
あれは鏡なのかしら
138億年前の宇宙の果て
辿り着けるかしら
私たちは一瞬で旅をしてきた

光なんて
人間の目だけのもの
それ以上の観測の目を持たない
本当の観測者は外にいるのだから
abc予想のように

寂しい

さみしいねさみしいね
一緒にいる人がいたって、さみしいね
不完全なわたしは埋められないねあなたには
埋められる人は最初から遠くにいたんだっけ

わたしは愛されない

どうしたらいい
見捨てられ不安
私をみんな見ない
わたしは愛されたい
わたしは愛されたい
昔から万人に愛されたいのに
真逆なんだ
お前は要らないんだ
些末な存在なんだ
声が届かず無視され
ただ付いて回るだけの
そしてすがり付くだけの
それはそれは鬱陶しく
邪険にされる存在

自嘲

自嘲

愛の唄の深淵を聴いたよ
とっぷりと浸かった海の深遠
さざめき蠢き 意識が芽生えた時
私は二人ではなくて
この星では
デフォルトが一人なので
一人で歩かなければならなかった
嘘つき偽り 薄っぺらな言葉を並べ立てて
連なっている人達も居た
私はみんなのようには上手く出来なかったので
透明な鱗を見ていた
親指と人差し指の間にダイヤの形
私にはこれがあるから大丈夫
そこには、そこには何も無いのに
夜の海で

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愛されなくて当然のありのままの私

愛されなくて当然のありのままの私

ある一言で瓦解した私は。
今まで必死にぼろぼろの身体で積み上げていたものが一気に崩れ去ってしまった。
あとにはなにもない、なにもない。
何者でもない私。
お母さんの残した宝石は私が死んだらどうなるんだろう。
悔しい。あの人に勝ちたい。
でもあの人には認識すらされていないだろう。
ただのモブ。
どうして。
どうしても、私にはなにもなくて。
ああ見透かされていたんだ。
あなたにはなにもないよねって

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声を思い出したよ

声を思い出したよ

母の声がして
母に似た姿が見えた
それまで母の声を忘れていた自分に気がついた
お母さんが帰ってきた
と思ったのに
お母さんが帰ってきたらいいのに
と思った
完璧に現実だと思って掃除機を隅々まで、ほんとに隅々までかけていたのに
この世界は夢だなと気づく
せっかく一生懸命掃除したのに
覚めた視界がまだ波打っていた
父が母に会えたかしら
この世界では2度と元気な母に会えない
会えない
帰らないんだよ

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溶け合う光のものを目にした

溶け合う光のものを目にした

2つの魂が出会うべくして出会ってぶつかり溶けていくのを見た
それはとても幸福な
特別な朝の日でした
そして私はただの傍観者でしかなくて
ということは私にはその幸福はないということ
手を出しても貰えないもの
何を取り繕っても見向きもされないもの
私の魂の行き場は
やはり死にゆく母に連れて行ってもらいたい