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明石わかな | 本
2022年7月27日 17:33
この本は、小学生の男の子たちと老人の交流を通し、生きることと死ぬこと、移り変わっていく事への観察をテーマにした小説です。小学生と老人の交流を中心としながら、ひと夏に起きた出来事が、多くのセリフとエピソードも絡め立体的に展開されていきます。この作品について、ネタバレ含みつつ考えてみます。小学生である三人は、アルコールに依存しがちの母親がいたり、自分たちの他に家族がある父親がいたり、それぞれ家
2022年7月24日 17:45
夏になっているので、夏っぽい話の感想を書いてみます。道尾秀介の『月と蟹』です。ネタバレ含みます。この話は、海辺の町で過ごす小学生の慎一と、その友達である春也が中心となって進んでいく、ミステリー要素も加えた、子供から大人になる時のもの悲しさが感じられる話です。 この話は神奈川の鎌倉を舞台とし、鎌倉の自然や祭りも絡め描かれます。話のはじめの方で、慎一と春也、そして慎一の祖父、三人で鎌倉の祭りに
2022年6月29日 15:54
江國香織の良さはいくつもありますが、漢字で書きそうな箇所をひらがなにする審美眼が独特なので、それについて書いてみます。江國さんは、絵本作家というキャリアもあるからか、ひらがなに対するこだわりというのか、独特の目線を持っています。江國さんの小説である『すいかの匂い』の解説には、「江國さんは漢字とひらがなにも独特の選択眼を持っている。(中略) 文章の中での、言葉の力の入れ方を決めるために、江國さん
2022年6月27日 19:38
熱くなってきたので、涼し気な夏の本を紹介します。この本は、わたしが中学生くらいのときに読んでから何度も読み返している本のひとつです。15ページほどの短編が11本入っています。この本は、きれいな夏の和菓子の詰め合わせを眺めているような気持ちにさせてくれる本です。この本には川上弘美さんの解説も入っていますので、そちらと絡め、感想を書いていきます。川上弘美さんは『センセイの鞄』など興味深い作品を書い