見出し画像

集団指示『ちゃんと座って』は逆効果な話

私は、noteに度々『科学的な知識を乗せて保育する』というようなことを書いてきました。

今日はその辺の話をしてみようかと思います。今日は、長いです(;゜∀゜)

私は『発達障害コミュニケーション中級指導者』という、民間資格を持っています。
日本医療福祉教育コミュニケーション協会の資格です。
学校の先生や、保育士という、子どもの前に立つ仕事をしている人には、この勉強をすると、目から鱗なことがたくさんあります。

↓↓↓

例えば全体で集まるとき、活動するとき
(保育における集団活動の賛否は、一旦置いといて)
どうしても落ち着かない子に対して、
『○○くん、ちゃんと座って~』
と、言いたくなる場面ありますよね。

そんな時、私は、○○くんには注目せず
『△△ちゃん、背中がピンとしてて、座り方ステキ!』
と言います。

この一言で、一気に雰囲気は変わります。
たったそれだけですが、この言葉は多くの科学的な根拠に乗っ取ってます。


科学的根拠①見本の提示


全体指示を出している人が言葉を発すると、大体そこに皆が注目し、連鎖反応が起こります。
これは、もう人間の特性です(笑)受け入れるしかない。

その時、多くの大人は『出来ていない子』に注目しがちですが、
『足パタパタしないで』と声かけちゃうと3歳クラスなら、みーんな真似て『パタパタ』し始めちゃう(笑)あれです(笑)

ならば、出来ている(見本)としたい姿を伝えるのです。
ここで、重要なのが、『見本の示し方』になります。


科学的根拠②具体的に


子どものそれぞれの能力の差はあるけれども、子どもに限らず『ちゃんと』という曖昧な言葉は難しいのです。
大人でも、【私】と【あなた】で、
『ちゃんと』の言葉が持つイメージは違うのです。

『ちゃんと』を具体化する必要があります。

そこで私は
『背中が』という部位と、
『ピンと』という擬音を使って、幼児に理解できるイメージを伝えます。

ここで大事なのは、子ども個人を認めるのではなく、『行動や、姿』を認めることです。


科学的根拠③行動や姿を認める


『○○ちゃんはステキね』『その姿勢ステキね』
同じに見えて、全く違います
個人を褒めると、それは他者との比較を意図します。
行動を認めると、場に応じた正しい行動を学習していきます。

細かいことを書き始めると、難しくなるので、行動を認めるんだ。とざっくり覚えてください。

とくに、この③が出来るかどうかは、大きな違いが生まれます。

すると、『ちゃんと座って』欲しかった○○くんは、△△ちゃんを真似て、背中がピンとします。
すかさず、『あ、○○くんも、背中がピンとして、お話がよく聞こえそうだなぁ~』と必ず大袈裟ではなく、さりげなく声をかけます。これが最後のポイントです。

科学的根拠④出来たを認める


そもそも最初に気になった、
○○くんが『ちゃんと座っていない』背景は、
いくつか仮説が立てられます。

  • 場にあった振る舞いが、分からない

  • 興味が湧いていない

  • 自分が座っていないことに気付いていない

  • 大人の注目を集めたくて、崩している

  • 体幹がなく、姿勢が崩れやすい

などなど…いくつも予想ができます。また、背景は1つとも限りません。重なっていることは、よくあります。

それを探っていく必要があり、また内容によってはいろんなアプローチも必要です。

しかし、いまとりあえず一瞬でも出来たのならば、すかさず認めていくのです。
一瞬で終わってしまうこともあります。
でも、その一瞬を認めることが出来れば、やってみようとする回数は必ず増えます。

そして、繰り返すうちに、座っている時間は延びたり、縮んだりしながら、気付いたらかなり延びています。

このとき、『この前、出来たでしょ!』と、無理に座らせようと思わないことです。

人間は、大人だろうと子どもだろうと、
出来たり、出来なかったりを繰り返しながら、成功率が上がっていくものです。

出来たり出来なかったりに、一喜一憂せず、出来た時にだけ注目し、出来なかったときには、
まぁそんな日もあるよね~
くらいの心持ちでいることが、ポイントです。



こんな具合です。
私は、しばしば科学的な根拠に基づいて保育をします。
これは、保育士資格や、教員免許の分野も超えています。
これを保育に取り入れた背景には、発達に困り感がある子どもが、少なくとも私の回りには、かなり増えていた事実があります。
むしろ、これがなければ、クラスとして成立できないのではないか。という、危機感すらありました。

この知識をいろんな先生と共有しながら、保育していくと、春先は、なかなか元気溢れる多様性のクラスですが、一年経つ頃には、すごく人を思いやれるクラスになっています。

足をバタバタしてても、大人が否定しないのですから、クラスの皆が、友だちのバタバタを受け入れられるし、バタバタしてた子も、様々なアプローチの結果、バタバタする必要がほぼなくなるのです。

そして、保育者も『え、面白い。学びたい!』
と思うように、循環し始めます。

いまは、本当に分かりやすい保育本がたくさん出ています。
本からでも知識は得られます。
たくさんの先生が、共通言語を持てば、自分の引出しだけではなく、いろんな先生の引出しを見せあいっこして、やれることは、何倍にも増えるのです。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?