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「そろばんリユース事業」で繋がって来た、トンガ王国と兵庫県小野市の友好関係。

こんにちは、翼祈(たすき)です。
「そろばんリユース事業」は兵庫県小野市の取り組みで、“市長への手紙”をきっかけとして2010年9月から開始した事業で、家庭や職場で使用されくなったそろばんを回収し、海外へ届けることによって、そろばんの普及振興と、そろばんを使っている諸外国との友好関係を高めることを目的に掲げています。

2010年からトンガ王国にそろばんを届けている小野市。2022年1月の海底火山噴火で、甚大な被害を受けたトンガ王国。今までの「そろばんリユース事業」への返礼品として、トンガ王国からココナッツの葉を編んだうちわや、「コトア」と呼ばれる堅い木を叩いて伸ばすことで、ポスターの様にイラストや文字を描いた「タパ」などが届いて来ました。現地の子ども達が書いた、お礼の手紙も同封されていたといいます。

今回は2022年1月に起こったトンガ王国の大規模な海底火山噴火、トンガ王国の教育、小野市とのそろばんでの友好関係についてお伝えします。

ここ最近のトンガ王国の情勢

日本時間の2022年1月15日13時頃、南太平洋のトンガ諸島付近で海底火山の大規模な噴火が発生しました。噴火したのはヌクアロファの北約65キロにある海底火山で、ヌクアロファがあるトンガタプ島で約80センチ、北方にある米領サモアで約60センチの津波が観測されました。噴煙が達した高度は約1万6000mです。

噴火には3つのタイプがあり、専門家は「マグマ水蒸気噴火」の可能性を指摘しました。マグマ水蒸気噴火の場合は、上昇したマグマが地下水に触れて爆発を起こし、マグマを含む火山灰が噴出されて起こる現象です。

トンガ沖の噴火を「マグマ水蒸気噴火」と判断した理由は、周りに軽石が発見できず、降り積もった火山灰の量が少なかったためでした。

この大規模な海底火山は2022年1月14日にも噴火を起こし、火山灰が約20キロの高さまで上がりました。2021年12月20日から火山活動が活発化していましたが、2022年1月11日に火山が休止状態になったとの宣言が出されていました。

静岡大学の火山学が専門の教授の男性によれば、「火山灰が非常に細かい。火山灰の細かい理由は水とマグマが触れ合ったので、細かい訳なんです。『マグマ水蒸気噴火』にはとても巨大なものが発生したとしか想定できない状況です」と言います。

噴火に併せて、発生したのが津波でした。トンガ政府は、最大15mの津波が押し寄せたと発表しました。トンガ気象庁は噴火直後に、トンガ王国全域に津波警報を発令しました。ニュージーランドなどにも津波警報が発出しました。オーストラリア気象局によれば、ヌクアロファでは日本時間の2022年1月15日13時半頃、約1.2メートルの津波を観測しました。オーストラリア市内に水が流れ込み、銀行などの建物の1階が浸水しました。ですが、現地は大規模に停電しているとの情報もあったといいます。

トンガ王国は約170の島からなる国です。アメリカ中央情報局によれば、この中で45島に人が生活しているといいます。広さは720平方キロメートルで、長崎県対馬の広さとほぼ同じ広さです。世界銀行によれば、2020年現在の人口累計は約10万5千人です。

国連訓練調査研究所(UNITAR)は2022年1月17日、大規模噴火があった南太平洋のトンガ諸島の衛星写真を公表しました。噴火した火山島では陸地の大多数が消失し、周辺の島々では津波の傷痕がありました。

大規模噴火をした海底火山「フンガトンガ・フンガハーパイ」では、2021年12月8日時点で285ヘクタール(東京ドーム約61個分)の陸地がありましたが、大規模噴火後の衛星写真では陸地の大多数が海没していることが確認されました。

そして、大規模な火山から北東約70キロにあるノムカ島の村落では、約250の構造物のうち104がほぼ全部が灰に覆われており、41の構造物で損傷が確認できました。緑豊かな風景が一転し、灰褐色に変わってしまいました。

トンガ王国の国土のすぐ東側には深さ約1万メートルのトンガ海溝が南北に延びていて、周りには地震や火山の噴火の多発地域としても知られてます。

ドイツの国際NGOなどで構成された団体が発表した2020年版「世界リスク報告」によれば、地震、台風やサイクロン、洪水、干ばつ、海面上昇などの要因から、国別で危険度に順位をつけた結果、トンガ王国は「災害リスク」で181ヵ国中、バヌアツに次いで2位でした。

参考:トンガの海底火山が大規模噴火、首都で津波被害 読売新聞(2022年)

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5週間ぶりに海底ケーブルが復旧 海底噴火被害のトンガ BBC NEWS JAPAN(2022年)

トンガ王国の教育

画像引用・参考:小野市とトンガ王国の架け橋「播州そろばん」

トンガでは,6歳から13歳までの8年間が義務教育で,小学校は6学年。中学校・高校が一緒になっているハイ・スクールは7学年あります。

新学期は1月から始まります。1学期は10~11週で,一年に3~4学期あります。各学期の間は1~2週間程度の休みがあり,最終学期が終了する12月初旬から,新学期が始まる1月までの夏休みがもっとも長い休みになります(南半球では12~3月が夏です)。

トンガではトンガ語と英語が公用語となっているため,小学校から英語教育があります。英語だけで全ての授業を行う学校もあり,国民のほとんどが英語でコミュニケーションをとることができます。教科は,英語,国語,算数,科学,社会,体育などの他に,情報・技術,創作・技術,音楽,美術といった日本と同様の教科があります。ソロバンや,日本語も教えられていて,ソロバン大会や日本語大会なども行われています。

引用:外務省:世界の学校を見てみよう!トンガ王国

トンガ王国が小野市からそろばんをリユースして貰うことになった経緯

そろばん生産量日本一を誇る兵庫県小野市が、中古そろばんを諸外国の教育現場に届ける「そろばんリユース事業」に励んでいます。2022年12月に南太平洋のトンガ王国に送る1000丁を合わせると、12年間で届けたそろばんは1万丁を超えます。世界国々の教育現場で「小野そろばん」が使われ、担当の小野市産業創造課は「地元小野産のそろばんが世界で役立っていることはとても嬉しく思います。日本各地の人達からもう使わないそろばんが届き続けている。皆さんの思い出の詰まったそろばんをこれからも有効活用していきたい」と、同「そろばんリユース事業」継続に意欲を燃やします。
 
同「そろばんリユース事業」は、家庭や企業でもう使用されないそろばんを活かそうと、同小野市民の要望で2010年からスタートさせました。全国から届いたそろばんのほとんどは、国際協力機構(JICA)を介して諸外国に届けられています。

同2010年11月のトンガ王国への贈呈を筆頭に、米国、インド、チュニジア、インドネシア、フィリピンなど世界中にそろばんを毎年届けています。

その中でも、トンガ王国は小学校3~5年でそろばん教育が必修科目であり、需要が高くなります。ですが、そろばんの足りないことで児童1人に1丁を提供することが難しくなっていることから、全体の8割超に当たる8千丁以上をトンガ王国に届けて来ました。

沢山のそろばんを児童に行き渡らせた功績は現地でも高く評価されています。2022年2月にはトンガ王国から、JICAを介して同小野市に手紙と返礼品が届き、そろばんを通じて両国の絆がより一層深まっています。

参考:「小野そろばん」1万丁が海外に トンガや米国の教育現場で活用 リユースされ、深める絆 神戸新聞NEXT(2022年)

国際協力機構(JICA)海外協力隊員として、トンガでそろばんを教えた男性によれば、トンガ王国と小野市の絆が生まれたきっかけは今から30年以上前、トンガ政府高官と日本人のそろばん指導者が飛行機内で偶然出会ったことでした。そろばんを使った学習効果が当時の国王トゥポウ4世の耳に入り、小学校での導入が決定しました。

男性は日本での文部科学省に相当するトンガ教育訓練省の一員として、現地の教員や子ども達にそろばん教育について助言しました。今でも鮮明に覚えているのは、そろばん競技大会といい、教え子に良い結果を出して欲しいと、つきっきりで教え子に教えました。そろばん競技大会での好成績に、手を叩き合って喜ぶ子ども達の笑顔を見るのが何より嬉しい出来事でした。

トンガ王国と小野市の友好関係に祝杯

トンガ王国のハイ・スクールでは、日本と同じ様に1年間で中間試験と、学年末試験があって、児童は頑張って勉強します。特に、ハイ・スクールの5年生の時にみんなが受ける試験TSC(全国統一試験)に合格しなければ、各学校も落第があって、卒業できないので、生徒はみんな真剣に勉強に励むといいます。

この記事に関しては、まず小野市の「そろばんリユース事業」の話から知りました。書くまでどんな記事に仕上がるかソワソワしていたのですが、いざ完成すると、より友好関係が強く現れ、トンガの情勢なども入れたので、より濃い内容になったなと感じました。

私はそろばんは学校の授業でもしたことはありません。数学が苦手なので、そろばんが出来なかったらきっと大変だったに違いありません。なので、必須科目となって勉強しているトンガの子ども達は、素直に凄いと思います。これからもトンガ王国と小野市の「そろばんリユース事業」が続いていきます様にー。


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