見出し画像

生活介護型事業所「ITSUMO」が、廃棄される牡蠣の殻を、肥料「カキ粉」にして販売!

こんにちは、翼祈(たすき)です。
これからは冬の季節。冬になると、牡蠣小屋が海に近いエリアで始まったり、お鍋に入れたりと、牡蠣のシーズンに入って来ると思います。

牡蠣は殻がついていますが、その殻を使って粉砕して、肥料として販売している障害者の福祉事業所が、千葉県にありました!

食べ終わった海の牡蠣は陸の資源に-。重度知的障害者の人たちが利用する千葉県千葉市若葉区にある生活介護型事業所「ITSUMO(イツモ)」が、廃棄される牡蠣の殻を地元飲食店から譲り受け、主に農作物向けの肥料へと再生し、地元の直売所などで販売しています。

カキ粉」は肥料や飼料として人気を集め、利用者の意欲や、やりがいの向上に結び付いています。廃棄されるはずだった牡蠣の殻を再利用することで、地球にも優しい社会福祉です。

同「ITSUMO」の支援リーダーの女性Aさんは「牡蠣の殻は重くて処分にもお金がかかる厄介者だと思えますが、実はミネラルがとても豊富な資源となります。環境保全や地域貢献をしていきたいです」と語ります。

今回は「ITSUMO」のSDGs的にも良い、この取り組みを紹介致します。

「ITSUMO」が牡蠣の殻を肥料にしようと思い付くまでの道のり

洗浄して脱塩、乾燥させたスマホ程の大きさの牡蠣の殻を、プレス機や木の棒を使ってカキ殻を砕く人、袋を詰める人、石臼でひいてふるいにかけ、さらに細かく砕き、粉にする人―。21~23歳の4人の利用者それぞれが、作業をこなしていました。

千葉県千葉市若葉区の住宅街の中にある「ITSUMO」。倉庫を改修した建物に、支援員と利用者さん達の和気あいあいとした声が響く作業スペースがあります。

袋詰めして「カキ粉」として2022年冬に製品化し、同水準の市販肥料の半額程度の値段なことで、毎週20kg程度を販売する施設内や地元の直売所「加曽利 房の駅」では、月曜日に納品した「カキ粉」がすぐに売り切れになる状態が続きます。それ以外の店からも「うちにも『カキ粉』を置きたい」という声を頂いていますが、農家以外や家庭菜園をする一般家庭からも買い求められ、生産が追いつかないことがあるほどの人気を博しています。

牡蠣の殻に含まれる主成分の炭酸カルシウムは野菜の生育に必要不可欠で、作物の成長に欠かせない栄養素のミネラルを豊富に含み、酸性化した畑の土壌の中和にも必要です。

「カキ粉」の製造を始めたきっかけは、今から4年前のことでした。利用者の就労を受け入れて下さる、有機野菜を栽培する近くの農家から届いた「天然の肥料になる牡蠣の殻の肥料の粉を作ってくれないか?」とのリクエストを受けたからでした。

千葉市内の飲食店に聞いてみると、牡蠣の殻を有償で廃棄していることが明らかとなり、原料となる牡蠣は重量のおよそ8割が殻といわれています。飲食店が処分するには有料となる厄介者です。事情を説明して、「無料で引き取る」と申し込むと、提供してくれる飲食店はすぐに見つかって、無償で牡蠣の殻を譲り受けることになりました。飲食店側にも、牡蠣の殻の廃棄コストを削減可能なメリットがあります。問題は肥料にするまでの作業にかかる手間でした。

牡蠣の殻は塩分を含んでいて、完全に塩分を除去するには3週間程度水にさらさなければなりません。その上完全に乾燥させないと粉になりづらいといいます。牡蠣の殻は大きいものだと厚さが1cm近くあって、通常の粉砕器では砕けないものもあります。手作業で牡蠣の殻を砕くのは相当な重労働です。

作業を行う利用者たちが怪我を負わない様に、牡蠣の殻はプレス機を使って1つひとつ潰していきます。さらに2mm以下の粒状になるまで石臼にかけるなど手間をかけていって製造していきます。

「カキ粉」は野菜の肥料として活用され、1ヵ月で100kg以上売れることもあります。「カキ粉」を購入した方からは「野菜が甘くなりました」と大好評です。また、「ニワトリなどの飼料にも使えます。市販の肥料より細かくて、効果が高いです」という声が届いています。

2019年に開所した「ITSUMO」では、通所する重度知的障害者らがただ単に生活支援を受けるだけでなく、「スタッフ」として地域をサポートする側としても仕事をします。施設内で運営する駄菓子屋では子ども達相手に接客をし、地元の高齢者の人たちから草取りなどの要望があれば行います。特技や性格に適した仕事をし、受け取った報酬や代金は働いた分に応じて利用者に毎月支払われています。

作業している4人全員が重度の知的障害を抱えています。「ITSUMO」に通所する前までは「働くことは困難だ」とされてきましたが、ここでは1日当たり3時間半の間、作業をし、商品ラベル貼りや袋詰めまで丁寧にこなしていきます。

2年前から「ITSUMO」に通所する男性はじっとしていることが困難で、相性の良い仕事がなかなか見つかりませんでしたが、牡蠣の殻の回収作業から製品の販売されている現場まで同行して貰うと、集中して作業に励む様になりました。

支援リーダーの女性Aさんは「自分たちの手で製造したという実感を持つので、良い相乗効果が生まれています。1つずつが手作業のため『カキ粉』の生産を増やすことは難しいですが、多くの人に『カキ粉』を喜んで頂ける様な仕事にしたいです」と説明します。

支援員の女性Bさんは、「ようやくここまで私たちの活動が知られ始めました。これから売り場を拡大したり宣伝したりして、もっと活動の場を広げていきたいです。それぞれの性格や特性に適した作業をして、成功体験を繰り返し伸ばすことで、人の役に立てたという自信に繋がります」と述べます。

参考:<未来は変わる ちばのSDGs>カキ殻、肥料になる 海の厄介者 砕いて、粉にして畑の資源に 東京新聞(2023年)

牡蠣の殻の主成分は、天然素材の有機石灰肥料として一般的に広く活用されています。それ以外の石灰肥料と比較しても効き目が穏やかと言われ、家庭菜園で使う人らから「与えすぎによって作物を傷むことが少なくて使いやすいです」との声が届いています。

病害虫の発生を予防する以外にも、通気性が上がってふかふかの土壌を作り出す効果も持っています。田畑に残ったミネラル成分は、地下水や雨水を通って川や海に流れ、植物プランクトンを養い、地球にも良いと言われています。

ウコッケイの飼料として活用する方もいます。「市販の『カキ粉』より細かいのでウコッケイの喉を傷つけません。安心して使えます」といった声が寄せられています。

「カキ粉」は、袋1.5kg入りです。「ITSUMO」では税込180円(2023年11月からは税込200円)、地元の直売所「加曽利 房の駅」では税込200円(2023年11月から税込300円)で販売しています。

海の恵みが陸の恵みなんて、


素敵ですね。住んでいる場所は違えども、素敵な循環型社会ですね。

私の家も父が野菜に肥料を撒いているのですが、ある年色々あって肥料を撒けなかった年があったのですが、その年の野菜とお花はどこか元気なく、家族で「肥料って大事なんだな」となって、また肥料を次の年から撒くと元気になって、肥料の偉大さを思い知らされました。

牡蠣で作った肥料だと、確かにミネラルも豊富で、凄くものが立派に成長しそうな感じもありますね。

牡蠣は広く食べられていますが、それを肥料に、かつ福祉事業所で、とは、本当に地域密着、利用者の方も仕事をしていて楽しいでしょうし、本当に素敵な社会福祉だなと感じました。

もしかしたら鋭い機械を使っているかもしれないので、お怪我などには気を付けて頂きたいです。応援しています!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集