#ショートストーリー
脳みそいただきます物語
『脳喰い』
薄暗い部屋で、男は一人、テーブルに向かっていた。
テレビからはニュースキャスターの声が響いている。
「…都内で著名な専門家が次々と犠牲となる猟奇事件。警察は犯人の特定を急いでいます…」
男はニュースに目もくれず、目の前の皿に盛られたものをゆっくりと口に運んでいた。
それは、白く半透明で、かすかに揺れる、まるで豆腐のようなものだった。フォークで軽く押すと、ぷにゅりと形を変える。
男は
自らの血や肉を与えるヒーロー物語
『ニンゲンマン』
東京の片隅にある古びたアパート、その一室で田中誠はパン屋のおじさんと二人で静かな生活を送っていた。
誠の両親は彼が幼い頃に事故で亡くなり、それ以来、パン屋のおじさんが彼を引き取り育ててきた。おじさんは背が高く、少しやせた体つきをしており、優しい眼差しで誠を見守る。
パン屋のおじさんはいつも誠にこう言っていた。
「人を救うことが何より大切だ」
誠には、秘密があった。
彼は自ら
アキラとアンチの物語
『悪の謝罪』
アキラはSNSで人気のあるインフルエンサーだった。
彼の投稿はいつも多くの「いいね」とコメントで溢れていたが、その中には必ずと言っていいほど批判的なコメントも混じっていた。
その中でも特に目立つのが、「影」というアカウントからのコメントだった。
「またくだらない投稿だな。こんなの誰が見るんだ?」
アキラは最初、そのコメントを無視しようとした。しかし、影のコメントは続き、次第に彼
言葉を料理する店物語
『ヴォカブラリー』
厨房の中で、ミナミは丁寧に「愛している」という言葉を醤油に漬け込んでいた。
彼の手は慣れた動きで、言葉を優しく撫でながら、その言葉が持つ深い感情を引き出そうとしている。
そして鍋にその「愛している」をそっと入れる。
煮込むこと3時間。
じっくり、じっくり、鍋の中で言葉が熟成し、その意味が深まるのを感じ取っていた。
ついに、熟成された「愛している」が完成した。
ミナミは漬け
泥棒が詐欺師の日記を見た物語
『盗んだのは罪悪感』
静かな夜。
月明かりだけが泥棒の唯一の仲間だった。
彼は影から影へと移動し、まるで夜の生き物のように音もなく家々を巡っていた。
彼の動きは猫のようにしなやかで、目的ははっきりしていた。
金品、貴重品、それが彼の収穫だ。
しかし、この夜は何かが違った。
彼はいつものように窓を開け、暗闇に身を委ねたが、心の奥底で何かがざわめいていた。
それは、これまでの彼の人生に対する疑問か
物語と曲をセットで作る
AIで曲が簡単にできるようになったということで、物語に曲も付けてみようと思います。
2個セットの物語です。
『さよなら、小さな勇者よ』
彼は毎日、病院のベッドで絵本を読んでいた。
絵本は彼の唯一の友達だった。
彼は絵本の中の世界に憧れていた。
そこには色とりどりの花や動物や冒険があった。
彼はいつか、絵本の中の世界に行きたいと思っていた。
ある日、彼は看護師の私にもっと絵本が読みたいと言って
カードが教えてくれた本当の気持ち物語
『願望現実カード』
夜の街を歩いていた彼は、突然目の前に現れた謎の男に声をかけられた。「君、このカードを持っていると、何でも願いが叶うんだ。興味があるかい?」
男は彼に小さな紙切れを差し出した。
それは、白い四角に赤い文字で「願望実現カード」と書かれたものだった。
彼は、男の言葉に半信半疑だったが、好奇心からカードを受け取った。
「ありがとう。でも、本当に効くのかな?」彼はカードを見ながら尋ね
万引きした物と同じ物をサンタさんから貰う物語
『万引きのクリスマスプレゼント』
幸子は万引きをした。
幸子は小学4年生。家は母一人。貧しかった。
幸子はチョコレートケーキというものを食べたことがなかった。
どうしても食べたかった。
幸子は万引きをした。
スーパーでこっそりとチョコレートケーキを盗んで、急いで外を出た。
ふわふわのスポンジととろけるクリーム、そして濃厚なチョコレートの層が、きっと私の舌を楽園に誘ってくれる。
幸子の心は踊
織田信長になったので裏切り者をクラスメートから探す物語
『本能寺の変な俺』
松本は、教室の窓から外を見た。
今日は歴史の授業だった。
内容は本能寺の変のところだった。
松本は歴史が好きではなかった。
歴史は、古い話や人物の名前や年号を覚えるだけのつまらないものだと思っていた。
だから、授業中は、先生の話を聞くふりをしながら、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
窓の外は、どこかのクラスが体育でグランドを走り回っていた。
何の競技をやっているのだろうか?
拷問に耐えた男の恥ずかしい手紙物語
『赤い顔』
雅之は銃口をこめかみに押し付けられていた。
雅之はイスに縛られ、顔は腫れあがり、頭からは血を流していた。
「いい加減パスワードを言え。もう飽きてきた」
ネクは今にも銃を撃ちそうな雰囲気だった。
ネクは組織の中でも頭はキレるが、感情もすぐキレるタイプだ。
しかし、雅之は言わなかった。
彼はそのパスワードが組織の手に渡ると世界中がパニックになることを知っていた。
彼はただ巻き込まれた
面接官が遅刻した物語
『100敗目の信念』
就活真っ最中。
今日も面接だ。よし、今度こそ受かるぞ。
そう思いながら、タケルはネクタイを締めた。
タケルの面接の成績は0勝99敗。
記念すべき100敗まであと1敗。
傍から見たらそれを期待するが、それだけは避けたい。
その気合いはいつもより強く、ネクタイを締めすぎて倒れそうになった。
イヤな予感しかしない。
そしてタケルは面接に向かった。
15分くらい少し早く来すぎ