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習作『カレーライス』
※最後まで読めます。昔書いた話のセルフリメイク。
いつもとは違う小さな空間に対し、俺は眉間に皺を寄せた。下駄箱を開けると、そこには桃色の可愛らしい封筒が入っていたからだ。きっと誰かの悪戯に違いない。そう一瞬疑うも、手に取った封筒には女の子特有の丸っこい文字で自分の名前が書かれてあった。もう少し若ければ「神様、グラシャス!」などとスペイン語で感謝の言葉を吐き出し、口元をだらしなく緩めた間抜けな表
習作『伝わらない寓意 ―スターチス―』
※最後まで読めます。放課後恋愛譚。
――君との距離と伝えたい言葉の量にいつも戸惑う。
二月の上旬。暖房の効いた教室で、うつらうつらしながらシャーペンを回転させ、彼女に云われた言葉を反芻する。窓から降り注ぐ日光が、開いたノートをより一層白い光で満たしていた。五時間目の国語の授業は教諭の都合で自習となっていて、副担任の先生から急遽出されたプリントの問題を早々に埋めて提出してしまうと、クラ
習作『・・は忘却される』
さて、何を書こうかと考えている間にどんどんと時間が過ぎていく。
もう少し考える時間が欲しいのだけど、その考える時間というのがどうでもいい些末な話ばかり浮かんで、『コレだ!』と話したい何かになる事は少ない。
だから今のところ、此れといって自分には書くことがない。そう説明しようと思うのだが、説明するためのボキャブラリーがこうも大量に必要となるのは一体全体どういうことなのだろう?
いや、書くことがない
習作『猫屋敷の恐怖』
保健所へ送るつもりだったんだ。
俺の唯一の趣味は庭いじりでさ。植木を剪定したり、雑草を引っこ抜いて芝生を芝刈り機で綺麗に刈り取ったりしているんだ。家庭菜園でプチトマトやアスパラガスの栽培とかやったりな。庭はいいぞ。自然に触れてると、ささくれだった心が癒されるし、自分だけの楽園を思い通りに築いていけるのだからな。
それがだ。その築いている楽園に野良猫がフンをしていくんだよ。最初はそんなに多
ものかきさんにちょうせんじょう。
ならざきむつろさんの企画に参加。
https://note.mu/muturonarasaki/n/n1302d3ed591a
最終回「親父、行くな。行くなよ!」
首に巻いたスカーフでヘルメットのバイザーを拭った私に、東京の高校で追試を受けていたはずの息子の隼人が、交信中に突如割って入って来た。
「ガフッ!? ゲホゲホーー」
私がひび割れたモニターを引き寄せると、黒い学生服を着た隼人
習作『天竺から来た男』
※詳しく調べてません。
鎌倉時代、日本から宋(中国)に渡った僧侶がいた。
僧侶の名を慶政(けいせい)という。慶政はそこで西の方から来たという異国の商人たちと出会った。
慶政は彼らを天竺から来たのだと考え、浅黒い肌をした異国の商人たちに紙を渡し、筆で言葉を書いてもらった。寄せ書きの様に書かれたそれを仏典として日本へと持ち帰り、同じ僧で親交のあった明恵上人に贈った。
その紙が現在、重要文化財として正