世界一小さな芸術祭2023レポート①〜寺越インタビュー〜
寺越から上のようなLINEがいきなり届いた。
相変わらずわけがわからない。
2022年と23年と私は仕事が慌ただしかった。この時期は仕事も一段落して久しぶりに寺越の話しを聞いてみたくなり会うことになった(こういう風に考えてしまう私はどうかしているのだろうか)
しかしまた芸術祭をやるとは何を考えているのだ。折角だからとインタビュアーのゴン田中(通称ゴン)に連絡してみると「いきます!」と力強い返信が。
指定の場所に着くと既に寺越とゴン田中が話している。ゴンがインタビュアーのモードで寺越に接しているので暫く様子をみる。
ー日常のキリトリが今回のテーマなんですよね、そこをもう少し詳しく教えて下さいー
”いや〜始めはそれをテーマにしようと思って、まずはいろんな人にこの質問をぶつけてみました。いろんな回答をもらったので、それを”日常のキリトリ”として沢山張り巡らせて、そこに常に流れている日常がミックスする空間を作ろうと思ってたんですよ。ただその空間をイメージした時にあまりワクワクしないなぁと感じたんすよね。そんで拡がりもあまりない。ここでもう一度考えなおしたんすよね。そしたら”日常のキリトリ”を聞いてる時のやりとりがけっこう面白くて、これは日常への介入だったんじゃないか?みたいに思ったんすよ。そりゃそうですよね、日常のキリトリをもっと深ぼっていくとその人の日常が薄っすら見えてくるからそりゃ介入ですよね(笑)”
相変わらずの寺越と楽しそうな顔をして時折頷きながら聞いているゴン。私はよく分からなかった。日常のキリトリを張り巡らせるとはどういうことだ。常に流れている日常をミックス?益々わけがわからない。
ーキリトリから介入へ!今回は日常への介入がテーマということになるんですかねー
”そうっすね。おれの介入から始まって少しでも変質していったら面白いなぁと。その人の日常のサイクルの中に芸術祭が加わる事により変質していくみたいな(笑)見にくる人、たまたま目撃する人、空間などなどいろんな部分からその人達に介入していって欲しいと思い今回野外を選びました、めちゃくちゃ寒いっすけどね”
どんどん距離が縮まっていく二人に対して私だけ取り残されているような気がする。もしかして私が鈍いのか?日常への介入などの言葉を違和感なくつかう二人に違和感しかない。
ーえ〜野外なんですね、今回は。この寒い中あえてなんですかー
”どの組も野外っす(笑)あえてというか野外の方がいろんな人の日常の中に介入できるじゃないですか。フラッと目撃出来るじゃないですか。普段そこを使っている人達の日常がありそこに異物が入りこむ。これはもうお互い介入ですよ”
前回は寺越の四畳半の家でやっていたが今回の舞台は野外。
これは寺越の今までの活動をなんとなく見た上で判断するとおそらくゲリラ的にいろんなところでやりそうだ。一体この芸術祭に誰が出るんだ?と思っていたらゴンが
ーそうですよ!それはもう介入ですよ!今回はどういう人達がでるんですかー
”出演者はなんとなく興味ありそうな人達に直接声かけましたが‥”日常のキリトリ”は皆気軽に教えてくれたけど、いざ参加となったら途端に返信こないですね(笑)まぁそりゃそうですわ。
その中でも”やりたい”と言って?言わせて?と残った貴重な6人が出演者です。ガツガツ表現活動をやってる人より、少し今は休んでいるという人達が多くなったのは興味深かったっすね。
その人達には世界一小さな芸術祭を利用してもらって少〜しだけでも変質してくれればなぁという思いが強くなりましたね。だって世界一小さな芸術祭ですからね!その人のやりたい事なら何やったっていいんですよ(笑)
参加者と話してこの機会を利用してなにが”やりたい”か?を聞き、それを形にするにはこういうのはどうですか?みたいな提案をおれはしている感じです”
ゴンの興奮とは対象的に私は冷静に考えていた。少し休んでいた人達が何かをやる時にはとてもとても勇気がいる、特にそれが大きければ大きい程に。ただ世界一小さな芸術祭はその名の通りで寺越もいってる通り恐らくやりたい事は何をしてもいいんだろう。敷居という意味ではないようなものだ。そういう意味ではやりやすいのかも知れない。
ー6人も集まったんですね!それぞれと寺越さんが一緒にやるという感じですよねー
”う〜ん、一緒にやるというか、一緒に作るって感じの方が強いっすね。最終的にはどうなるか分からないですけど、今の段階ではおれは出演者という括りにならないような気がします。今回のおれの役割はそれぞれの”やりたい”を如何に形にして、その人達に楽しんでもらうためのサポート、うん、サポーターですね(笑)おれの”やりたい”は今回はそこにあるような気がします。出演するのはその人達中心の方がいいのかなぁと。だからガンガンサポートしますよ〜”
今回寺越は裏方にまわるんだろう。立たせるのは参加者、そして参加者のやりたい事。そのために様々な提案をするのだろう。寺越がライフワークとしてやっている「出会った人と作っていくぜ」とは似ているようで少し違った形のアプローチだと私は感じた。
ーなんか僕の中で世界一小さな芸術祭2023が見えてきた気がしますよ!いつから開催なんですかー
”本当ですか(笑)実はもう開催してるんですよ(笑)今回クリエーションの段階から公開してて、だって日常への介入ですからね。あと結果だけみるよりそこに至るまでの過程の方が今回は特に面白そうな気もしてるんですよね。なんとなくの日程ももう決めました。場所はちょっと変動ありなんですけど気軽に見に来て欲しいです!”
ゴンのインタビューが一段落したところで寺越はトイレに立った。ゴンに聞いてみたら「楽しそうじゃないですか!よくは分からないですけど、この前の芸術祭もそうでしたしとりあえずみたいっすね、一緒にいきましょうよ、計さん!」どこまでも真っ直ぐなやつだ。この寒さの中で野外に行くというのか?ため息が出たが、多分私も足を運ぶだろう。
久しぶりに寺越のエネルギーを浴びて少し気になっている自分は隠せない。
今回は結果のパフォーマンスというよりもその過程に向き合う人間達の生き様が見れるような気がしている。既に私の日常への介入が始まり少し変質していきそうな予感がしている。
文 中谷計
インタビュー ゴン田中
※興味ある方は寺越のコチラにDMを送って下さいとのことです
チラシデザイン 吉田みずほ
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