【お役立ち】エレベーターのあのボタンのこと、ホントに知ってる?【めろこ】
ADSS1ミオパチー患者家族会CTOの藤岡です。私たちの病気はとても進行が緩やかです。いまでは外出時には車椅子に乗っていますが、高校生ぐらいまでは手すりなしで階段を登れていたし、大学生の頃はパチンコ屋でバイトして一日中店内を歩き回ったり、パチンコ玉の詰まった箱をどうにか持ち上げたりしていました。つまり、どういうことかと言うと・・・
元健常者。徐々に障害者。
徐々に障害者になっていく目線というのは、健常者だったころにはまったく気づかなかったことにある日突然気づく、ということがあって、健常者目線と障害者目線の両方を持ち合わせることができるのが 私たちのストロングポイント なんです。
ということで唐突に始まりました『目から鱗が落ちる』略して『めろこ』シリーズ。今回は、エレベーターのあのボタンについてお話します。
今回のお題
エレベーターに乗るときに必ず一度は見たことがあるであろうこのボタン。どういうものなのか、ご存知?
ある日突然気づいた話
まだ車椅子に乗らず外でも杖で歩行していた頃。私の会社のエレベーターは以下のような仕様でした。
前面と背面に3基づつ、計6基並んでいる
どのエレベーターが到着するのか直前まで知らせてくれない
頻繁に乗り降りが発生する
健常者の方には信じられないかもしれませんが 杖歩行の私としては 到着するエレベーターを視認してから扉が閉じるまでの時間で、そのエレベーターの前まで移動するのが間に合わない ということが発生し始めていました。
中に乗ってる人に少しでも姿を見せることができれば、開くボタンを押して待ってくださる心優しい方はたくさんいらっしゃるのですが、姿を見せるところまでも間に合わなかったり、そもそも無人だったりすると、虚しくエレベーターの扉が閉じていくわけです。
急いでボタンを押せば同じエレベーターが開くかもしれない、と慌てて近くのボタンを押すのですが、乗り降りが頻繁なのでもう一度同じところが開くことは稀で、別のエレベーターが到着したりします。それが対角線上の反対側だったりすると絶望的。3回ぐらい続くと、もうちょっと可笑しくなってきます。自分、なにしてるん?
私もバカではありませんから、対策を講じます。最初に考えたのが勘ピューターです。エレベーターを呼び出すボタンを押しつつ天の声に耳を傾けます。すると、不遇の私を憐れんでか神様の声が聞こえてきます。
次に来るエレベーターは右端じゃぞ~じゃぞ~~じゃぞ~~~
そこで私は予め右端のエレベーターの前に移動し、対角線反対側のエレベーターが到着して、ひげもじゃに悪態をつくわけです。てめぇ、このクソじじい。
次にもう少し論理的に考えます。6基のエレベーターのうち2基を捨てて4基に絞ります。これなら間に合わないリスクをかなり軽減できます。この4基なら間に合うぞ!と思ってボタンを押すと、捨てた2基の方が連続して到着したりして、自分のヒキの弱さにガッカリするのです。
と、しょんぼりしてるある時、ふと気づきました。
あれ?あのボタン、6基のうち1基にしか付いてなくなくない?
そうです。あのボタンは 確実にその1基を呼び出すことができる という役割を担っているのです。これがどれだけ役に立つことか。それに気づいた日から私のエレベーターライフは一変しました。もうあのひげもじゃに騙されることも、自分の運の無さを嘆くこともありません。このボタンを押してこの前で待ってさえいれば、確実にエレベーターに乗れるわけです。
ひゃっほー!
あのボタンの正式名称は「福祉仕様ボタン」
「車いす用ボタン」とも呼ぶようです。が、私が経験したように、車いすユーザーだけではなく、移動が困難な方には有用なボタンだと思います。特徴は以下の通りです。
車いすでも押せるように低めに設置されている
押したところのエレベーターが到着する
扉が開いてる時間が普通のエレベーターより長い
エレベーターの中に車いすでも押しやすいボタンが設置されている
エレベーターの中に車いすユーザーがバックで降りやすいよう鏡が設置されている
ご理解いただけましたでしょうか。
ちょっと苦言@啓蒙活動
「福祉仕様ボタン」をご理解いただけた今なら、私が言いたいことをわかっていただけると思います。正直、健常者だったころは意味も分からず私もやっていましたが、気の短い人が当たり前のように「普通のボタン」と「福祉仕様ボタン」の同時押しをします。どれか一つでも早く来て欲しいという気持ちからだったり、むしろ「お前なんでそのボタンを押さねーんだよ」みたいな圧力を感じたこともあるかもしれません。しかし、あなたのその行動は
「福祉仕様ボタン」を頼りにしている移動困難者を妨害している
可能性すらあります。こういうことを誰も教えてくれませんが、エレベーターの乗り方として小学校の道徳の授業でやってもいいのでは?とさえ思います。誤解して欲しくないのは、みなさんを責めているのではありません。無知だった元健常者として自戒を込め、そして、知ることができた人間として一人でも多くの人に周知したいのです。
ちゃんと正確な情報
引用元というわけではありませんが、ちゃんとしたメーカーの公式情報を紹介しておきます。
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私たちはADSS1ミオパチーという100万人に1人の超希少難病を広く知ってもらうための活動をしています。まだ治療法は確立されていませんが、いつかこの病気を克服することを目指しています。治療法確立や治験実現に向けて、みなさまのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、この記事を読んでちょっとでも「へぇ」とか思っていただけたら「スキ」ボタンをよろしくお願いします。