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本の感想とか

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読んだ本の感想など。 基本的にブログに書いたことを転載しているだけなので、気に入ったらブログもみてください。
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#文芸

『ニルヤの島』(柴田勝家・著)のレビュー

『ニルヤの島』(柴田勝家・著)のレビュー

私は基本的に「小説家はあまり顔を公に出さないほうがいい」と考えています。

いえ厳密に言うと、
「小説家には顔を出さないほうがいい人と、顔を出してもいい人がいる」
といったほうが正しいかもしれません。

たとえば筒井康隆とか京極夏彦とか村上春樹とかは顔を出しても良いタイプだと思います。別にイケメンだからというわけではなくて、「顔と作品がなんとなくマッチしている」からです。

うさんくさい作品を書い

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薄暗くて物悲しくてモヤモヤする10の物語 ~『10の奇妙な話』のレビュー

薄暗くて物悲しくてモヤモヤする10の物語 ~『10の奇妙な話』のレビュー

仕事が忙しすぎてぜんぜんブログを書く余裕(メンタル的にもフィジカル的にも)がなかったけど、私は元気です。

文芸書の装丁デザインは実用書よりかなり重要さて言わずもがなだが、本の装丁はめちゃくちゃ大事だ。
基本的に、まず本を手にとってもらうためには装丁で目を引かないと話にならない。

ビジネス実用書の場合、その意味では、少し楽な部分もあるかもしれない。
というのも、タイトルで思いっきり「読者のメリッ

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年末年始はコレを読んどけアワード2017 ~小説・人文・ビジネス実用~

年末年始はコレを読んどけアワード2017 ~小説・人文・ビジネス実用~

今年もいろいろ読んで、2017年の読書冊数は215冊(12月21日時点)。

私が今年読んだ本のからとくに良かった本を10冊に絞り込んでおススメする。ジャンルは文芸・ビジネス・人文などいろいろ。ひとつくらい、気になるものが見つかるとうれしい。

1.『猿の部長』

マーケティングが学べる小説なのだが、意外にもしっかりしたSF仕様で、巷にあふれている「とりあえずストーリーつけました的なビジネス書」と

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袋とじは読者の驕慢を叩き潰す ~『生者と死者』のレビュー~

袋とじは読者の驕慢を叩き潰す ~『生者と死者』のレビュー~

私たちは、本が普通に読めることに慣れすぎてしまったのではないか。

夜中に腹が減ればいつでもコンビニで食べ物が買えるのと同様に、金を出して本を手に入れれば、なんの苦労もなく次のページをめくれることを、さも読者として当然の権利と考え、驕りたかぶっているのではないだろうか。

そのような驕慢な読者の鼻先に突きつけられるのは、「袋とじ」という怪物である。

これは、本来製本の段階でノド(背表紙のほう)に

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