年末年始はコレを読んどけアワード2017 ~小説・人文・ビジネス実用~
今年もいろいろ読んで、2017年の読書冊数は215冊(12月21日時点)。
私が今年読んだ本のからとくに良かった本を10冊に絞り込んでおススメする。ジャンルは文芸・ビジネス・人文などいろいろ。ひとつくらい、気になるものが見つかるとうれしい。
1.『猿の部長』
マーケティングが学べる小説なのだが、意外にもしっかりしたSF仕様で、巷にあふれている「とりあえずストーリーつけました的なビジネス書」とはわけが違う。もちろん名作映画『猿の惑星』をオマージュしたストーリーで、コミカルさによるエンタメ性はピカイチ。ただし、実用面は期待しすぎてはいけない。
2.『読んでいない本について堂々と語る方法』
もうタイトルがおもしろすぎた。そして看板だけの見掛け倒しではなく、中身もしっかり、本を読まず日本を語る方法をしっかり考え抜かれている。考えていくと「そもそも本を読むとはなんなのか?」という非常に哲学的で深遠な問いにつながっていったりする。読書人には一度は読んでいただきたい。
3.『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』
太平洋戦争で日本が勝利した世界を描いたアメリカ人作家による歴史改変SF。巨大ロボットがドンパチするマニアック向けの作品かと思いきや、意外と大人向けの本格SF。似たようなものでは『横浜駅SF』もおもしろかったが、本書と比べた場合、個人的にはこちらに軍配が上がる。
4.『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯』
ウォルト・ディズニーの生涯をつづった一冊。ウォルトの破天荒ぶりや、四苦八苦するディズニーアニメーションもおもしろいが、それに翻弄されながらも何とか弟を支える兄のロイ・ディズニーに萌える。なかなかのボリュームだが、ディズニーファンは一度は読んでほしい一冊。
5.『アラビアの夜の種族』
読むのはしんどいが、読書好きを自認する人にこそ読んでみてほしい。ナポレオンがエジプトに攻め込んできたため、権力者たちを骨抜きにしてきた禁断の書物を作り上げる男(と女)たちの物語。しかし、そのストーリーこそが、著者の仕掛けた「ワナ」であることを忘れてはいけない。
6.『くう・ねる・のぐそ』
これは、もう、傑作。自然環境保護の観点からトイレを使うのをやめ、自分の排泄物をすべて大自然の中に開放することを実践している著者による、野グソの本。ウィットに飛んだ文章は、著者が自らの異常性を認識しているからこそ書けるとんでもない内容。それ以上の説明のしようがないのだが、とにかくおもしろすぎる。
7.『最も伝わる言葉を選び抜く コピーライターの思考法』
敏腕コピーライターによる言葉の「選び方」の本。読んだ人の心に響く言葉を選ぶために必要なのは語彙力(ボキャブラリー)ではなく、観察力・経験・洞察力などであり、それらを突き詰めると「人の痛みがわかる人」という結論に行きつく。『「言葉にできる」は武器になる。』 と同様、どれだけそれを感じ取り、言葉にできるかが問題なのだ。
8.『楽園のカンヴァス』
原田マハという作家がなぜこんなにも人気なのか、読んでみて初めてわかった。アンリ・ルソーの名作絵画『楽園』にまつわる謎を紐解いていく内容なのだが、ルソーの回顧録と、結末から魅せていくスタイルは、細かい部分まで読者を引き込むテクニックに満ち満ちていて、思う壺のままに引き込まれていく。これには参るぜ。
9.『ハリー・クバート事件』
華々しくデビューした小説家が2作目の執筆に苦しみ、大先輩の作家ハリー・クバートに相談を寄せるのだが、なぜか彼の自宅から15年前に失踪した少女の白骨死体が発見される。ハリーは少女を殺した犯人なのか? 超大作だが、最後の最後で待ち受けるどんでん返しは、お手本のような「まさか!」な結末で、下巻の後半になると徹夜必至。
10.『ビアンカ・オーバースタディ』
あの筒井康孝が書いたライトノベル……というだけでもうケッ作の予感しかしない。しかも最近になって、まったく別の人から公式の続編『ビアンカ・オーバーステップ』が出るカオスっぷり。物語は、美少女JKが童貞男子の陰茎をしごいたらタイムリープして戦争になる話である。とりあえず、読んだ人しかわからない。
ベスト・オブ・ベストは……
この中でベスト・オブ・ベストはやっぱり『くう・ねる・のぐそ』。コレに関しては「いっぺん読んでみてくれ」としか言いようがない。ただし、最後にある袋とじは超・超取り扱い注意。
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