阿部梅吉

古典文学大好きな純文学書き。 アイコン冬野様、ヘッダあさぎかな様。 Twitter:@…

阿部梅吉

古典文学大好きな純文学書き。 アイコン冬野様、ヘッダあさぎかな様。 Twitter:@umekichisenden

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

ステップ・イン・ザ・ナイト

  昔の同僚が結婚した。ただ、それだけの話だ。簡単なハガキが来た。私たちは結婚しました、と。式は挙げなかったようで、同僚らしいと思う。彼女が結婚式でウェディングドレスを纏っている姿など想像できない。  僕はもう一度ハガキを見た。知らない名前と見覚えのある字が同じ場所に並んでいる。僕はそれを近くにあったゴミ箱に放り投げ、目の前のパソコンでメールを確認した。全て仕事のどうでも良い話だ。どれもこれも急ぎの用ではない。なにせ、今日は土曜日だ。こんな天気の良い休日に仕事しているのは罪

    • 生理が辛いのでミレーナを装着しました

      ミレーナを装着しました タイトル通りです。 月経に悩まされてたので、ミレーナを入れました。 結論から言うとやってよかったです。 最初の半年はいつ生理がきたのか全くわからなかったのですが、今は少量の経血が月に一度出ます。眠気や腹痛もかなり軽減されました。 今回は月経に悩んでる全ての女性に向けて書こうと思います。 私の夢は月経による苦痛をこの世から無くすことです。 私がミレーナを装着したのは2022年4月頭です。 市内で施術ができる病院を探して、日程を決めました。 費

      • ミント・チョコレート

         自然災害としか言いようがない。災害だから仕方ない。そもそもの出会いからして、全く予期せものだったし、こればっかりは誰にもどうしようもない。 止められない、変えられない。 自分の意思でコントロールできない。 あれは平成最後の蒸し暑い夏の夜だった。  誰もいない、深夜2時の学校……。  二年前。僕がまだ大学二年生だった頃。学内のジャズバンドのサークルに入っていた僕は、学校祭前の練習で終電を逃して友達とサークル会館で寝ていた。僕はふと夜中にひとり目が覚めてしまい、ついでにな

        • 月曜朝、新宿のバーでワインを壊す

           光で目覚めたわけじゃない。ただなんとなく、昔の夢を見て、悲しくてそれで起きてしまった。記憶は曖昧だ。目覚めるといつも私は夢を忘れてしまう。 「ん……」  私は起き上がる。隣にはあいつがちゃんといた。誰かが横にいたのは随分久しぶりで、ほとんど初めてに近いような気がした。なんだか変な気分だ。子供のころ、まだ私が父に抱っこされて守られていたときのような気分がする。  「起きたの……」  目も開けずにあいつが言った。ここには窓がないから光が射しこまないはずなんだけど。眠いのか。

        • 固定された記事

        ステップ・イン・ザ・ナイト

        マガジン

        • マガジンリスト
          1本

        記事

          春、そして修羅

          宛先:なし 差出:阿部 件名:なし いかがお過ごしでしょう。突然の連絡に戸惑っていると思います。私にはあなたがこうやってネットをしていることの方が驚きです。何より、あなたがこうして生きていることを知れてとても嬉しいです。私はあなたに何か特別伝えたいことがあるわけではありません。 あなたはとても驚いているでしょうね。私にも何かあったのかと思います。6年前に急に私の前から去り、私は戸惑いましたが、今は元気に暮らしています。そうそう、引っ越しをしました。春とはとても不思議な季

          春、そして修羅

          文フリ東京で本出そ!

          文フリで本出そ! とゆーわけで来る 11月23日、文学フリマ東京に出店いたします! 合同誌を出します!現段階ではなんと!なんと!なんと!8人以上の方が!参加したいとの!ことです!!わー!!!嬉しい!!! だもんで印刷所に頼んだ方が印刷安いかも!!! あとできたら一万字以内にしてくれたら嬉しい 文学フリマは新しい世界への扉! どんどん新しい世界や人や作品を知って深めて自分の世界に取り込んじゃおうぜ!Youも作品作っちゃおうぜ! ジャンルは問いません〜 小説評論短歌俳句詩

          文フリ東京で本出そ!

          バウムクーヘン•バームクーヘン

             ウ 『バ  ムクーヘン』    -  31歳の終わり、僕の家に双子がやってきた。 「私はバウムクーヘンしか食べないからお気遣いなく」と片方が言った。 「私はバームクーヘンしか」と片方が言った。僕はその時まだ、二つの違いについてよくわかっていなかったから、 「ああ、そう」とだけ言った。 「ここにいる間の電気水道ガスは?」 「気にしないで、お金ならあげるから」と片方が言った。 「そんなに困っていないの」ともう片方が言った。 そんなの嘘だと思う。だって彼女たちの鞄の中にはい

          バウムクーヘン•バームクーヘン

          村上春樹『1973年のピンボール』考察と新説解説

          ※本記事は2020年11月1日日曜日に行われたキャスのまとめ版です。動画はこちら👇 https://twitcasting.tv/abeumekichi/movie/649003649  以下おおいにネタバレを含みますのでご注意ください。  この記事は1万4千文字以上あります。 今回は過去の研究者の意見を踏まえ、自分なりに新しい説を考案しました。 その説としましては 「鼠は海に入水自殺した可能性がある」ことと、「鼠のテーマカラーはオレンジだがカラフルなことに意味がある」

          村上春樹『1973年のピンボール』考察と新説解説

          どうやって小説書いてるのかわからないし記憶にもない話

          オチなしタイトル通りです。 馬鹿だと思うかもしれませんが本当です。 どうやって書いているのか自分でもわかりません。 何が出てくるのかもわからないし、どう着地するかもわかりません。 登場人物の性格もわからないから、書きながら彼らに聞いています。 そんなわけで考えて書いてる人はいつもすごいなあと思います。 以前長編(14万字くらい)を書いた時は毎日一時間書いていましたが、いつもその一時間を前にすると、どうしようどうしようと頭を抱えていました。 でも不思議なもので、とにかくパ

          どうやって小説書いてるのかわからないし記憶にもない話

          夢喰獏

          獏(ばく)は、中国から日本へ伝わった伝説の生物。人の夢を喰って生きると言われるが、この場合の夢は将来の希望の意味ではなくレム睡眠中にみる夢である。悪夢を見た後に「(この夢を)獏にあげます」と唱えるとその悪夢を二度と見ずにすむという。 --------------------------------------------------------------------------------------  頭の上がらない動物がいる、というと驚かれるかもしれない。私の場合、獏

          海外文学が過疎ジャンルだと認めたくない話

          ※今回話す内容は全てざっくりとした私の所感ですので異論は受け付けます。 皆さんこんにちは 妄想だけで現実を乗り切ってる夢女、阿部です。 今日も元気に推しの名前をpixivで検索するぞ〜💕💕 わたしはもういい年なのに二次元にガチ恋してしまっていて、本気で人生の何かが終わりと共に始まってしまったんですが、楽しく生きております。 私がハマったジャンルはまだ連載している漫画作品で、めちゃめちゃ旬ジャンルというほどでもないけど、供給は絶えずやってくるんですね。 そこで気づい

          海外文学が過疎ジャンルだと認めたくない話

          物心ついた頃から死にたいと思ってたがどうやら普通じゃないらしい話

          体が辛い。 月経なので体が辛いのです。 どうも、イベントでは体調不良を起こしまくることで有名な阿部です。 そもそも体が現世に向いてない。 このまえニーチェを読んでたら体は一番理性的だと言っていてかくありなん、とも思いました。けどその意味を本当に理解できたかはわかりません。 今日は一日中寝てましたが、全身が痛いです。顔も腰も頭も痛い。 月経のせいでメンタルもやられまくりで、些細な昔のことを思い出しては死にたくなる。 ピルを飲み始めたのですが、何ヶ月かしないと効果は

          物心ついた頃から死にたいと思ってたがどうやら普通じゃないらしい話

          なあ、何もかも忘れてしまおうか、地位も経歴も名も何も、何もかも

             「飛行機がね、苦手なんです」  私が取材で出会ったその男は、確かにそう言った。 男は洗練された黒の体に合ったスーツを嫌味なく着こなし、傷一つない黒の革靴を履き、足を組んでゆったりと座っていた。  それはまさしく、私がイメージしていた通り。 「でもあなたは昨夜、飛行機を降りてから成田空港でにこやかにファンに手を振っていたはずですが」 「それは事実ですね」  奇妙な言い回しだった。まるで自分ではない誰かについて言ってるみたいな口ぶりだった。  彼は穏やかな笑顔を向けた

          なあ、何もかも忘れてしまおうか、地位も経歴も名も何も、何もかも

          犬が戦えるようになったら

          ※本作は2019年文学フリマに出品し、またAmazonで電子書籍化された『色彩合同短編集』掲載短編のうちの1つです。 ※本記事は予告なく削除することがございます。予めご了承ください。    何度だって演じよう。何度だってプロポーズしよう。どんな真実を抱えていても、その気持ちごと抱きしめよう。覆いつくして侵食され、超えられないほど壊れてしまう夜なんか、もう訪れないようにしよう。照らす光は心躍って輝くものだけにしよう。暗くなりかけたときに帰ってくる場所は、今はまだ未熟だけど

          犬が戦えるようになったら

          ポスト・マン

           山鼻町2丁目のポストに惹かれ始めてから、もう1カ月が経った。初めはお互い意識していなかったけれど、通学中に通り過ぎるたびになんとなく挨拶するようになって、会釈するようになって、今日は久々に小学校の頃の友人への手紙です、なんて言い合っているうちに、今度じっくりお話しできませんか、と言われた。私は当然のことながら舞い上がった。 「じゃあ、今度ちゃんと手紙を出します」と私は初々しく返事をした。ポストさんは「待っています」とだけ言った。ああ、私にもようやく春が来たみたいだった。

          ポスト・マン

          創作は至上命題だと何度でも宣言し再構築する。そもそも創作って何。

          ※サムネは創作論をあまり語れない作者が見得とともに貼った画像ですのでそのへんを踏まえてお読みください。 こんにちは。 毎度体調不良の阿部梅吉です。 今回は創作と生活、とりわけ人生について考えた駄文を垂れ流そうと思った次第です。 駄文、というごはあまり好きな言葉ではありませんが、大方の自己啓発本が毒にも薬にもならないように、今この文章を見てあなたがどんな気持ちになるのかは私にはわかりかねます。 小説を書いているときは絶対に自作は面白いと思いますし、読者をどこかへ移動さ

          創作は至上命題だと何度でも宣言し再構築する。そもそも創作って何。