本を作る時、そこに何を求むか(入稿しました) | 文学フリマ東京38
同じものを見て、そこに何が見えるかは、人次第。そこに何を求めるかもまた、同様だ。
私はなぜ本を作りたいのか、と考えた時に、手にできる質量に対する思いが一番に浮かんで、でもそれは、そんなに重々しいものではなかった。
文字を手の上に召喚するような。指でそれを追うごとに自分自身の血肉になるような。さらに言えば、その収まりの良さ。
つまるところ、結局私は文庫本が大好きなのだ。
なぜ好きなのかは分からない。これは言葉にできる類のものではないし、言葉にした瞬間に本質を逃してしまい