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売れるとか、売れないとか|文学フリマ東京39

自営業を10年ほど続けている。細々と続けてきて実感することは、自分が面白いと思っていないものをやることはとてつもない苦痛だということ。

これを売らなきゃとか、うけるものを作ろうとか、いいねをもらおうとか、そのような目的を一旦持ってしまうと、作りたいものが本当に作りたいものでなくなってしまう。
そうすると、楽しかったことがいつの間にか全く楽しくなくなって、作り出すものの品質もどんどん下がっていくのだ。

最初の数年は、”売れる”ためにがんばっていたこともあった。けれど、いかんせん私にはそれが不得手だったようだ。
うけるものを作り出す人、お金を生み出す人、そういう人はそういう才があるのだろう。それも一つの素敵な個性だ。
ただ、私にはそれがない。というか、そこに楽しさを見出せない。
自営業にとって致命的。とても残念。

しかしそこで思い切って方向転換し、市場のニーズを気にしすぎず、とにかく自分がやりたいことを突き詰めて、本当にいいと思うレベルまでどんどん引き上げていった。
売れる、とは真逆のことを徹底的にやっていった。
すると不思議なことに、響く人には響いて、本当に自分の作り出したものに魅力を感じる人だけが集まってくれたのだ。

流行ってるから、というだけで人に何かを売ることが、私には大変苦痛だった。無理に人に何かをすすめることも好きじゃない。

あ、これ、興味ないですか。そうですか、じゃあ、他へどうぞ。別に無理して好きになってもらわないでいいんです、その方がお互いのためですから。
もし、気に入ってくれたら、うれしいです。飛んで喜びます。
そんなマインドが私には合っている。

それにしても、そんな感じで続けていられているということは、自分が作り出すものを手に取ってくれる人がいるから。本当にありがたいなと思う。
そしてそういう人たちは、さらにありがたいことに、応援してくれる。もっともっと、やっちゃってくださいよ、そのまま突っ走ってくださいよ、と。神ですね。

だから、私は、やっぱり、書きたいものを、とことん突き詰めて、納得いくまでやりたいと思う。そういう風に言ってくれる人たちに後押しされて、もっともっとやってみたいと思う。

私は、売れるとか、売れないとか、正直にいうとどうでもよい。
たくさん注目されたいわけでもない。
そういうことは一旦置いて、とにかく書きたいものを書いていきたいだけなのだ。

できることなら、好きなことを嫌いにならないで、楽しいままずっと続けたい。
それで、共に喜べる仲間が増えたら、願ったり叶ったり。

だから、文学フリマって、天国みたいな場所だと思う。
みんなが、好きに、書いている。みんなが、好きに、楽しんでいる。
12月。再びそんな場所に行けるのが、今から楽しみでしょうがないよ。

(新刊はまだ頭の中にふわふわしています)

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