あの本棚のてっぺんに手が届くまで
物心ついた時には、背丈の2倍ぐらいある本棚とそこにみちみちに詰められた何百冊の本と友達だった。
兄が生まれた時から両親が少しずつ買い進めた色とりどりの絵本は、手の届くところがちゃんとその年齢に合うよう並べられていた。最下段にはノンタンやクマくん、ねずみくんのチョッキなどが一通り揃っていたし、中段には青春小説、最上段には村上春樹があって、そのグラデーションは思い出せば出すほど知性に満ちていた。
記憶がハッキリしている5歳ぐらいのときのお気に入りは世界の童話集。モネの絵画みた