#36 最大の難関:ミッションの軌道修正(2)
前回、私がミッションに疑問や課題を持ち始めて、それを関係者に伝える、共有する過程をお話しました。私がとった方法は、「活動報告会」を開き、関係者を集めて伝える、というものでした。
これは、協力隊として、着任して今まで○○してきました、△△を学びました、これから▢▢に取り組もうと思ってます、というような、単に自分の活動の紹介や報告をする、というものよりは、次のような内容でした。
・そもそも「地域おこし協力隊」って?
・そもそも私のミッション(着任後にもらった「活動指標」)って?
・今までを振り返っての良い面(感謝など)、悪い面(疑問点など)
・現状と今後の課題(ミッションそのものの課題と自分自身の課題も)
・よって、このミッションを引き続き行うのは難しい(現状のままでは)
う~ん、これって「活動報告会」って呼ぶの?と思われる方もいると思いますが、問題は呼び方ではありません。
お伝えしたいことは、ミッションに疑問や課題を感じたときに、それをどう関係者に伝えるか、どう伝える場を作るか、どう軌道修正するか、ということです。
ので、呼び方は色々あっていいと思います。「活動報告会」「中間報告会」「○か月経過報告会」「現状の情報共有会」「現状と課題」「○○隊員より関係者の皆様へ」「ミッションについての話し合い」etc
方法も、もっと他にいろいろあるだろうと思います。
私の場合、一度、正規ルートでこのような場が設けられるか試みました。一番接している、「地域おこし協力隊」の担当者である、地域振興センターのセンター長経由で、「地域おこし協力隊」の管轄課である「地域づくり推進課」の課長、担当者に、まずは現状を伝えようとしました。
それがうまくいかなかったので、「活動報告会」という名で関係者を集めようとしたのです。
「地域づくり推進課」の課長、担当者に直接言ったらいいじゃん?と思われ方もいると思いますが、そう、それもアリでした。それも王道の正規ルートです。
ただ、着任してから、ミッションに問題を感じて、協力隊OBOGに相談しながら、自分なりに問題について考え、周りの状況を見て感じていたのは、
「地域おこし協力隊」の管轄の「地域づくり推進課」の課長、担当者に言ってもあまり意味がないだろうな、という感触です。なぜなら、私の自治体の場合、「地域おこし協力隊」の募集方法が、挙手制、だからです。
挙手制、とは、#5でお伝えしたように、地域の地域振興を目指す団体や事業者などが、○○のため「地域おこし協力隊」制度を活用したいです、と市役所に申請する、という流れのことです。※挙手制という言い方は私の勝手な言い方です。
つまり、私の場合、「地域おこし協力隊」の管轄である「地域づくり推進課」のある市役所が主体となって、このミッションが生まれたわけではないということです。市役所が言い出したミッションではないのです。
とはいえ、もちろん、「地域おこし協力隊」の申請をしてきた団体と協議し、ミッションを精査し、市役所として、そのミッションを認めたから、「地域おこし協力隊」の募集となった、のだと思います。
この「地域おこし協力隊」の設定、入れ方を本当にちゃんとしていたのか、が根本的なこの問題の原因だと思いますが、今回のテーマはミッションの軌道修正なので、ここはまた後で。
ということで、私の場合、このような背景のため、「地域おこし協力隊」を申請した団体から1名と、「地域おこし協力隊」の管轄課「地域づくり推進課」から2名の、関係者全員を同時に呼んで、私の思う現状や課題を伝える「活動報告会」という場を作ったのです。
どちらか一方だけに、現状や課題を伝えていても、時間がかかるだけであまり意味がないだろう、という判断です。
そして、両者の反応は、というと、
私が期待していたものではありませんでした。
ん?あら?全然伝わっていないのでは??
これといった肯定もなく、これといった否定もなく、しゃべり続ける私…
というような雰囲気だったのを覚えています。
私が期待していたものは、
「じゃ、このミッションの方向性をもっと考えましょう。」
「課題の原因は○○かもしれない。○○をどうやったら解決できるか?」
「△△に対して、どう対処していったらいいか?」
などなど、関係者の間で、ミッションについての議論が深まることでした。
ところが、結局、私からの「このミッションに取り組み続けることは難しいです」が伝わっただけでした。
それでも、ずっと抱えていたミッションへの疑問や課題を関係者に話すことができ、自分の中では、やっと、やっと、大きく事が前進したと感じました。
この後も、「地域おこし協力隊」を申請した団体の方ともう一度話したり、他主要メンバーに伝えたり、また、その伝え方をどうするかで「地域づくり推進課」の課長と担当者と話したりと、全体が落ち着くまでに時間がかかりました。
そうして、今まで多くの時間を割いていたメインのミッションへの取り組みを徐々に減らしていったのです。任期3年目に入る数か月前のことです。
このような状況での対応の仕方は、ミッション次第や状況次第でもありますが、「地域おこし協力隊」の性格によるところも大きいかもしれません。
もっとサクサクっと意見を言って、軌道修正できるタイプの人もいるでしょうし、関係者とケンカしてでも早めに軌道修正するタイプの人もいるでしょうし、うだうだ考えず、うまく軌道修正できるタイプの人もいるかもしれません。または、辞める、という選択をする人も。
正解はありません。
あるとしたら、自分自身が考えて出した結論。
それが自分にとっての正解です。