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自閉症スペクトラム(ASD)で不登校の娘との日々

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小学6年生から始まった娘の不登校傾向は、中学入学1か月で本格的になり、現在通信制高校1年生。自立に向けて、じわりじわりとナビゲートしたい母です。
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親として接する

親として接する

娘が通う学校は1~2か月に一度、発達障害理解に役立つセミナーを開催している。

先日のセミナーは、カウンセリングを受けるハードルを下げるという目的のものだった。
カウンセリングを受けにくる親は「どうすればいいか教えてください」というが「答えはクライアントの中」にあるのであり、カウンセラーが解決策を示すわけではない。
講師の話は基本的な内容が中心でありながら、発達障害者や被虐待児、不登校児の支援の現

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「振り回されましょう」

「振り回されましょう」

スクーリング会場までやっては来たが、娘と私は宿舎に一晩だけ泊まって翌朝早く家に戻った。
本来、スクーリングに親は付き添わないのだが、娘の場合、初めての場所でほとんど見ず知らずの生徒たちと共に3泊4日を過ごすのは難しいという本人、親、学校の判断のもと、医師に書いてもらった意見書を提出した上で同伴していた。同じ状況の親子は他にも何組かいた。

初日の夜に娘が帰ると言い出して、私は相談のために先生の部屋

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その「帰りたい」大事

その「帰りたい」大事

結局、3泊4日の予定だったスクーリングは一泊した翌朝にリタイアした。

前日、施設に到着する前に緊張は既に極限状で、昼食を摂ろうと途中寄った店では好物の唐揚げがほとんど喉を通らないほどだった。

にも関わらず、到着直後の開校式、からの「情報」の授業2時限という、日頃は週に一度登校するとき以外家でじっと絵を描いている娘にとっては驚異的なハードスケジュール。
授業の間、宿舎の部屋で待っていた私は、娘が

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振り返る意欲

振り返る意欲

最後にこのマガジンに投稿したのは、去年の9月だった。
もちろん、その後もすったもんだのけっこう濃い日々を過ごしていたが、嵐の真っ只中にあっては客観的に書く意欲も自信も湧いてこないものだ。気づくと更新が止まって1年余りになっていた。

この3月に中学生を終えた娘は、今、通信制の高校一年生だ。とうとう3年間、中学校にはほぼ通うことなく、もちろん卒業式にも参加しなかった。

高校への進学を検討するときは

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2DKでは狭すぎる

2DKでは狭すぎる

先日、娘は高校の体験授業を受けた。週1日~4日の通学か、インターネットを使ってほぼ自宅で授業を受けるかのどちらかを選べる、発達障がい児を専門に受け入れる高校だ。

2週間前、1週間前、3日前、前日とカウントダウンしながら気持ちを整えさせたが、案の定当日の朝は行きたくないと言ってベッドから動こうとしない。しかしここは引き下がる場面ではない。7月、8月と、ほんの少しずつ変化の兆しが見えだした。打ちひし

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おっぱい嫌いの赤ちゃん

おっぱい嫌いの赤ちゃん

中3絶賛不登校中の娘は、すぐ上の兄と七つ違いで生まれたが、上の三人と違うことが多かった。
四人目ともなると、子育てなんて余裕のヨッチャンだと、正直思っていた。しかし、それまでの経験が役に立たない。

まず、おっぱいは生後4ヵ月で本人から拒絶された。

当時はアルコール依存症の舅と、その舅と共依存関係の姑、両親との関わりを避けて家に寄りつかない夫、小学6年、4年、1年の子どもと新生児というストレス満

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風向きを見る

夕べ娘が言うことには
「なんか、みんなを見返したくなってきた。学校に行こうかな。学校が怖いとか、トラウマだとか、ほんとはとうの昔にどうでもいいんだよね。行かない癖がついちゃって、めんどくさいんだよね」

さあ、ここで飛びついちゃ事を仕損じる。

「ふーん。ま、本気でそうしたいときはそう言って。幸いお母さんは出勤が遅いから、あんたを車で学校に送ってやれるよ」
「分かった」

卒業証書は私が1人で職員

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娘、自分のからだに目を向ける

娘、自分のからだに目を向ける

「なんか、凄くマズい気がする」
と、娘が深刻な声で言ったので、軽く身構えながら「何が?」と訊ねた。
「私、デブってない?」

娘は手脚が長い。しかしここ数年、家でとぐろを巻いているせいで、すっかり締まりのない体つきになっている。
せっかくの長い脚の膝は曲がり、腰を落とし背中を丸めた立ち姿は、歴史の教科書に載っているネアンデルタール人のイラストを思い起こさせる。と、さすがに本人に面と向かっては言わな

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健全な中二病患者

健全な中二病患者

仕事から帰宅した私の顔の前に、「これ、意味わかる?」と娘が自分のスマホ画面を突き付けた。

Can you alive without weapon?

「…まあ、分かるよ。」

「…」の数秒で、私が呑み込んだ言葉は「物騒な」「なんでこんな言葉を」「何かあった?」etc.

「じゃあこれは?わかる?」

Why I kill a lot forever.

「???」

娘は中学に入って程なく学校

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高校進学を親子で考える

高校進学を親子で考える

発達障害児に特化した通信制高校があると知り、娘を連れて個別相談に行ったのは7月だった。久しぶりの外出で、初めて会う人に相対して話をするというシチュエーションに、本人はガチガチに緊張して顔面蒼白。話半ばで帰らざるを得なかった。
その学校を嫌だとは言わないが、かといって行きたい風でもない。「そこでイイんじゃね?」という雰囲気が気になる。

昨日の外出のかいあってか機嫌の良い娘に、数日前に予定していた通

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生まれて初めて救急車に乗った日

生まれて初めて救急車に乗った日

娘が小学5年生の冬休みが終わろうとする、ある日の夕方。
それまでいつものように、台所で夕飯の支度をする私と笑いながらテレビの話をしていた娘が、「あれ?足が痛い・・・」と言いだしたかと思うとそのまま体を硬直させて「痛い!痛い!」と泣き叫んだ。
あまりの痛がりように慌てた私は、「どこが痛いの?」と言いながら脚をさすってやろうとしたが、私の指先が軽く触れただけで叫び声を上げて痛がるためにどうする事もでき

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今、ここで、出来ること

今、ここで、出来ること

中学3年生の娘は、小学6年生から不登校だ。
小学3年生でADHDと診断され、その後6年生でASD(自閉症スペクトラム)と診断名が変わった。

この娘が生まれていなければ、今の私は無い。私は子どもを4人生まなければ、人として地に足を着けて生きられなかったのだ。

発達障害という名前は世間で話題になる機会が増え、耳に馴染んできた感さえある。また、実に多くの人が体験た知識を書き表している。今さら私が表明

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